先日、小菅小竹堂さんの作品の数々を拝見する機会があった。この竹作家の方がユニークな点は、日本最高峰の技術を持たれていながら産業工芸デザイナーであり、戦後は新潟県竹工芸指導所技師として竹の普及に尽力されていた点だ。普段は竹工芸作家とはあまり縁のない一般的な竹細工にも小竹堂さんの創作された品が多々あったのである。
自分たちも幼い頃から知らず知らずの間に小竹堂さんのデザインに慣れ親しんでいた事になり、後から知って物凄く親近感を感じてきた。だから、作品展が開催されると聞くたびに、どうしても足が向いてしまう。今回は自分の持っている竹編みネックレスを持参した、創作された元々の作品と見比べてみるためである。既に数十年前に廃盤となっているため、最後に残された中から最高に出来栄えの良いものを置いてあるのだが、やはり本元と比べると見劣りする。
素晴らしい作品の中に面白い籠を見つけた、美しい鳳尾竹で編まれた籠だ。鳳尾竹とは元々は根曲竹で、柔らかく、それでいて堅牢な竹質は買い物籠や脱衣籠などで皆様の目に触れる事が多いが、このような繊細な表現もできるから、つくづく竹は面白い。
銘を「鯉口」と言う。フッと笑みがこぼれるのも確かな技があってこそ、また小竹堂さんを身近に感じて好きになった。
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