このゴールデンウィークは久しぶりに多くの方が全国を旅されるとの事なので、瀬戸内国際芸術祭2022が開催されている直島あたりも大人気となっているのではないでしょうか。潮風香る島内を歩いて地元の方と交流しながら、点在するアートに身をゆだねる素晴らしい体験が待っていますので、もしまだ行った事がなければ是非オススメしたい場所のひとつです。
さて、そんな直島にやけに風通しのよい建物を見つける事ができると思います。割竹を格子に組んで壁にしている斬新さに驚かれるかも知れません。ところが、これは何処かのアーティストが考案して創作したものでも何でもなくて、元々皆様さん日本人が暮らしていた民家そのままです。
そのままと言えば少し語弊がありますけれど、昔の住宅はこの竹格子を骨組みとして土を固定して壁にしていたのです。漆喰(しっくい)という言葉を聞いた事もあろうかと思います、お城や寺社の壁、土蔵などの白壁がそれにあたります。
土壁の上に漆喰を塗って耐久性を高めると共に見た目の美しい建物にしていたのです。今回の竹格子は、壁竹(小舞竹)のみにして新しさを感じていただけるように工夫されていると同時に、日本伝統の暮らしの素晴らしさを改めて知る機会になっているのです。
坂道を下りた突き当りの民家には年期入って良い色合いになった竹壁がありました。日本唯一の虎竹も全てに色付があって一級品という訳ではありません。虎模様の少ない二級品も竹林管理のため伐採され山から出てきますので、以前はそのような竹で壁竹を製造しました。一丈(約3メートル)の長さに竹を割って出荷しますので丈割竹と呼んでいましたけれど、最盛期には毎週10トントラックに2台分も作って積み上げていた事を懐かしく思い出します。
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