発見!タケトラカミキリの蛹

チビタケナガシンクイムシの食害


竹籠をお使いの皆様の中で、久しぶりに手にしたら見慣れない粉が出ていた等という経験のある方もおられるかと思います。年に何度かは竹虎にもお客様からお問合せ頂く事もあるのですが、暖かくなってくる春先から梅雨時にかけては特に多くなります。

 
竹の虫の喰われた竹籠


この見慣れない粉の正体は竹の虫です、今回は古いサンプルを元に復刻していた淡竹で編んだ祝儀籠が虫に喰われています。現在では、ほとんど使われていませんが20数年前までは婚礼の決まった際に鯛を入れて持ち運ぶ、この祝儀籠が地元で活躍していました。竹表皮に小さな穴が開いていますので、体長3ミリの小さな見た目を侮れない強力な食欲を持ったチビタケナガシンクイムシの仕業と分かります。


タケトラカミキリによる根曲竹の食害


自分の右手にもった根曲竹の手付籠の食害は更に酷いもので、このサイズの穴を開けるのは大型のタケトラカミキリが犯人です。持ち手の丸竹はボロボロになるほど食害にあっています、しかし実際見た目には見過ごしてしまうほどですから定期的に手にしていないと気づきません。


テングス病(Aciculosporiumtake)、蔓自然枯


近年の竹の虫の多さは一体どうしたものでしょうか?その原因はいつくか考えられます。ひとつは温暖化による生態系の変化で、先ほどの根曲竹などが典型的ですけれど寒い地方の竹にこれほど虫が入る事はあまり経験のなかった事です。害虫が活発に活動できる環境になっている事に加えて、竹林に広がる天狗巣病も気になります。これからの梅雨時など多湿になりやすい時期に胞子が飛んで感染する植物の病気で、関東あたりまでの竹林では良く見かます。一帯が罹患していて天狗巣病でない竹を探すのが難しいような地域もあるほどです。




竹の生態は不思議で真竹や淡竹は120年に一度、孟宗竹は60年に一度、竹の花を咲かせる言われています。2018年に虎竹の里からも遠くない土佐市での孟宗竹林で日本最大級の部分開花を見つけました。竹林を所有されるお年寄りも一体何が起こったかとビックリされていましたけれど開花すると地下茎で繋がっている竹林は、この動画でご覧いただくように全体が枯れてします。開花に向かうことによって竹自体の生命力が落ちて結果として天狗巣病や害虫に対する抵抗力が弱まっていくのです。


タケトラカミキリの蛹


何とタケトラカミキリの蛹です!虫の喰った根曲竹の持ち手から珍しいものが出てきました。白いイモムシのような幼虫や、竹から竹へと飛び回る成虫は目にする事が多くとも蛹はかなり珍しいものです。


このような竹の虫への対処方は具体的にどうすればいいのか?竹虎ウェブサイト竹製品のお手入れ方法についての中に「竹の虫について」がありますのでお困りの方は参考にしてください。




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