とても美しい竹の切り口です、何と竹林から竹を伐採した時そのままの切り口だと言うので驚いて暫く声が出ません。しかし、こうして見ていると竹は竹林に立つ姿が一番ではあるものの、こうした切り口ひとつでも人に熱く語りかけてくるものがあるものです。模様のように見えるのは維管束と言う竹の水分や養分を運ぶ細い管です、竹表皮に近いほど密集しているのがお分かりいただけると思います。だから表皮近くの繊維はしなやかでも強く、竹細工に多用される部分です。
日本唯一の虎竹の切り口はどうか?と言えばこんな感じで、実はあまり美しいものではありません。先程の白竹は丸竹のまま使われますので切り口そのものも作品になるのに対して、虎竹は丸竹で使う事は少なく、その場合でも必ず切り直すので竹林での伐採ではむしろ竹表皮へのキズに注意しています。
竹林からの搬出も一本づつ担いで運び出せるのであれば、それが一番かも知れません。しかし、虎竹の里のように急峻な山道を30分も登っての作業ではある程度の効率を求められますので昔ならキンマ(木製のソリ)、現代は運搬機に載せて山出しします。最終的な製品が異なるので、やり方は違いますが長い時間をかけて培われ最適化した其々の竹の形です。
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