華道で使われる竹一重切花入を創作されている職人さんの竹へのこだわりも凄いものがある。広い竹林を歩き回ってようやく一本の竹を選ぶのだが、その竹の切り口を見てあまりに綺麗なので驚いた事がある。人間国宝の生野祥雲斎さんは長い布袋に竹を入れて運び出したと聞く、そこまでではないにせよ同じように竹林からの運搬にも気を付けられている。
虎竹の里の伐採や搬出とは随分違うけれど、これは竹材の用途に関係している。自然の丸竹そのままを花入れに製作するので竹の姿や竹肌をとても大切にするのだ。シミや自然な割れなども珍重される、流派によるのたろうか?シミの付き具合を見れば好まれる、好まれないが一目で分かると職人は話す。
ところで、竹には表と裏がある。虎竹は、太く割ったり細く割ったりして丸竹のまま使うことは稀だからあまり考えた事がない。先程の乾燥させた竹材を油抜きすると天然の油成分が光って美しい竹肌に趣のあるシミが浮かびあがる。さて、どちらが表だろうか?
実は向かって右側が竹の表の部分だ。竹が成長していく過程で太陽の当たる表側は早く硬くなり反対に裏側は柔らかいままに伸び上がり微妙に節間に違いが出るのである。節が少しだけ短い方が表、つまり竹の顔とも言える。節間が短いので、ゆっくりと曲がって頭をたれるイメージか...奥ゆかしい竹らしい。
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