お客様からお問合せを頂きましたので、竹の油抜きについて改めてお話ししたいと思っています。そもそも竹は、青竹のまま使用すると表皮の退色もさる事ながら耐久性が高くありません。青物細工の竹籠や竹ざるが長く使えるのは、竹の一番丈夫な竹表皮部分か、それに近い部分を薄く剥いで竹ヒゴにして編み上げているから強度が保たれているのです。丸竹そのままですと、いくら旬の良い時期に伐採していてもカビや虫の原因となります。そこで、丸竹のまま使える竹材にするために竹に含まれる余分な油成分を取り除く「油抜き」という加工をするのです。
油抜きの方法には乾式と湿式、つまり火を使って直接に竹を炙る方法と、熱湯に竹を入れて熱を加える方法があります。火抜きにも其々やり方があって、昔は炭火で加熱して油抜きをしていた銘竹店では一本一本丁寧に火を入れ竹から浮き上がってくる油分を丁寧に拭き取り磨いています。こうして竹は強さと美しさを兼ね備えた素材となるのです。
一方、沢山の竹を束ねて熱湯に入れ一気に油を抜いていく方法もあります。竹虎でも、このような真竹の湯抜き作業は冬の風物詩のひとつでした。白竹の需要減少と共に製造は続けられなくなりましたが、今でも湯気と竹の香りの混ざる湯抜きの仕事は目に焼き付いています。白竹を晒竹(さらしだけ)とも呼びます。湯抜き直後の竹は黄色みを帯びた色合いなので、寒空の天日に当てて白竹特有の色合いにしていきますが太陽の光に晒すので晒竹です。
火抜きも湯抜きの竹材も同じように白竹と呼ばれています、ところが同じ白竹とは言え、経年変色が全く違ってくるのです。少し分かりやすい極端な二つを用意しました(笑)、上の丸竹一輪差しが火抜きの白竹で、下のピクニックバスケットが湯抜きの白竹です。色合いで言うとこれだけの違いがありますから、人により好みはありますものの自分などは、改めて火抜きの良さを思ってしまいます。自分たちの虎竹も当然油抜きをしています、そうする事により独特の虎模様が竹表皮に浮かびあがるのです。油抜きは火抜きですがガスバーナーで豪快に釜の中で火を回して一気に熱を入れていくのが、いかにも高知らしいやり方です。