火抜きと湯抜きの白竹について

 
真竹、白竹


お客様からお問合せを頂きましたので、竹の油抜きについて改めてお話ししたいと思っています。そもそも竹は、青竹のまま使用すると表皮の退色もさる事ながら耐久性が高くありません。青物細工の竹籠や竹ざるが長く使えるのは、竹の一番丈夫な竹表皮部分か、それに近い部分を薄く剥いで竹ヒゴにして編み上げているから強度が保たれているのです。丸竹そのままですと、いくら旬の良い時期に伐採していてもカビや虫の原因となります。そこで、丸竹のまま使える竹材にするために竹に含まれる余分な油成分を取り除く「油抜き」という加工をするのです。


火抜き加工


油抜きの方法には乾式と湿式、つまり火を使って直接に竹を炙る方法と、熱湯に竹を入れて熱を加える方法があります。火抜きにも其々やり方があって、昔は炭火で加熱して油抜きをしていた銘竹店では一本一本丁寧に火を入れ竹から浮き上がってくる油分を丁寧に拭き取り磨いています。こうして竹は強さと美しさを兼ね備えた素材となるのです。


真竹の湯抜き加工


一方、沢山の竹を束ねて熱湯に入れ一気に油を抜いていく方法もあります。竹虎でも、このような真竹の湯抜き作業は冬の風物詩のひとつでした。白竹の需要減少と共に製造は続けられなくなりましたが、今でも湯気と竹の香りの混ざる湯抜きの仕事は目に焼き付いています。白竹を晒竹(さらしだけ)とも呼びます。湯抜き直後の竹は黄色みを帯びた色合いなので、寒空の天日に当てて白竹特有の色合いにしていきますが太陽の光に晒すので晒竹です。


白竹花器、花入れ


白竹ピクニックバスケット


火抜きも湯抜きの竹材も同じように白竹と呼ばれています、ところが同じ白竹とは言え、経年変色が全く違ってくるのです。少し分かりやすい極端な二つを用意しました(笑)、上の丸竹一輪差しが火抜きの白竹で、下のピクニックバスケットが湯抜きの白竹です。色合いで言うとこれだけの違いがありますから、人により好みはありますものの自分などは、改めて火抜きの良さを思ってしまいます。自分たちの虎竹も当然油抜きをしています、そうする事により独特の虎模様が竹表皮に浮かびあがるのです。油抜きは火抜きですがガスバーナーで豪快に釜の中で火を回して一気に熱を入れていくのが、いかにも高知らしいやり方です。




オーダーメイドの竹すだれ

 
国産別注竹すだれオーダーメイド


簾(すだれ)など普通の方なら夏のザル蕎麦の時に目にするくらいで、別にあっても無くても、あまり日頃気にしない竹製品のひとつかと思います。だから、そんな簾オーダーメイドなどする人などいるのか?と不思議かも知れません。


別注竹すだれ


ところが、たかが簾(すだれ)、されど簾です。一般のご家庭では必要なくとも食品メーカーさんや、飲食店では其々の規格であったり器によってサイズが異なるのです。近年、ほとんどの簾は海外からの輸入になっていますので少量の枚数でも別注が編める工場は貴重な存在です。


国産竹御簾


あまり見た事のない形の簾が編まれてきました、相変わらず素晴らしい出来映えです。このような簾一枚からも竹林の様子、山の仕事、竹の運搬、竹工場、竹職人の事が目に浮かびます、だからこそ同じ仕事が続いていけるように少しでも別誂えスダレを増やしたいと思っているのです。


国産別注竹すだれオーダーメイド


かっては日本にも数社あった丸簾は国内では製造できなくなりました。下のYouTube動画がレアな最後の製造現場の職人さんが映っています、角簾を製造する様子も良くお分かりいただけるかと思いますのでご覧ください。




ブランドでトートバッグを探していました

 
山葡萄手提げ籠バッグ、竹虎四代目(山岸義浩)


30年ブログをお読みになられている皆様は先刻ご承知の通りですが、先日は毎日藍染作務衣ばかり着ているというお話をさせてもらいました。それは良いのですが、休日の室内着として使っている訳ではなく、仕事でも遊びでも、出張でも着てますから実は普通のカバンでは似合いません。


ちもろん、おそらく日本一くらい竹製の手提げ籠は持っています(笑)。今座っている机から見えるだけ少し数えてみましたが50個くらいはすぐにありそうです、竹の種類も虎竹、白竹、青竹、磨き、スズ竹、根曲竹、煤竹、炭化煤スズ竹と様々。車の中だけでも3~4個くらいはいつも載せています、全部使ってるという事ではなく、試作や好きで手元に置いているだけの物もあったり、思い出の職人さんの物もあったりします。


白竹手提げ籠


しかし、今回は作務衣に似合うトートバッグが欲しいと思っていたのです、少し前に凄く格好のいいバッグを持つて歩く外人の方を見て憧れていました。おっとトートバッグ...?それなら、あの白竹で編まれた大型バッグがあるではないか!?ところがです、自分のように長時間使っていると少し気になる事が出てくるのです。市場に少し買い物に行く程度なら全く問題無い事です、けれど出張で丸一日パソコン入れた重たい竹籠を持ち歩くとなると、籐持ち手が結構手にきます。このように籐ヒゴで丁寧に巻きこんでいても痛くなってくるのです。


山葡萄手提げ籠バッグ、竹虎四代目(山岸義浩)


そこで昨年から国内外のブランドバッグで革製のものを結構探していましたけれど、コレというトートーバッグは見つかりません。そうこうする内に巡り巡って結局戻ってきたのが、背負い籠として使われていた山葡萄の籠。傷んでいる所を新しいヒゴで補修してもらいも持ち手を取り付けたもので、ちょうど探していたトートーくらいのサイズ感です。


山葡萄棚編み手提げ籠バッグ、竹虎四代目(山岸義浩)


山葡萄の使い込んだ風合いはたまりません。もう一つ持っている腰籠として使われていた棚編みの山葡萄も、持ち手を付けてリメイクしていますが他を圧倒するような渋さ。自分には、やはり昔ながらの山の恵みかなあと思っています。




高知昔籠のひとつ、スズ竹で編まれた四ツ目籠

 
スズ竹四ツ目籠


スズ竹と言えば東北など寒い地方ばかり思い浮かべてしまうけれど実は四国や九州にも成育していて竹細工の盛んな頃には各地でこの竹を使った籠が編まれていた。この古いスズ竹四ツ目籠も何を隠そう地元高知でかって作られていた籠だと言う。今ではすっかり姿を消してしまっているので、わかに信じられないが実は伝統的な仕事にはこのような事が多い。


シダ編み籠


シダ編みの籠にしても、虎竹の里は竹もそうだが良質のシダが取れて隣の漁師町久礼には二軒のシダ屋があったそうだ。当然近くにはシダ細工の職人が沢山いて工房もあったと思われるが、今では細々とその名残を感じられるだけだ。


古いサツマ、竹ざる


今でも農家さんで現役で使われている大きな竹ざるを高知ではサツマと呼ぶ。昔から日本有数の竹産地である鹿児島とは交流があったので、編み方など技術的な行き来もあって編まれるようになった竹ざるだと思う。ちなみに、竹職人の家には鹿児島から嫁いで来られた方も多いし、反対に鹿児島に住み着いた方も多かったと聞く。


土佐箕


高知特有の箕として光を放っているのが土佐箕。持ち手に藁を巻いている箕は、どこだったか他の地域でも見た事があるが、さすがに棕櫚を巻く事はない。温暖で素材が豊富にあった高知ならではである...身近に見て知っているからではあるが、もしかしたら最初のスズ竹四ツ目籠のように見た事もなければ、こんな竹細工が作られているのか!?やはり驚くに違いない。




世のお父さん方!お休みの日は作務衣でリラックス

 
藍染作務衣、竹虎四代目(山岸義浩)


さて、本日は作務衣についてYouTube動画でお話させてもらいました。色落ちしながら、長く愛用していると傷みやすい箇所がいくつかあって、そこを修繕しながら楽しんでいる作務衣のお話です。自分の場合は35着ほどある中から25着をその日の仕事やスケジュールに合わせて選んでいますが、やはりその中でも洗濯終わればすぐに着たいという好きな作務衣があるので、どうしても傷みが早くなってしまいます。


虎竹の里、作務衣、竹虎四代目(山岸義浩)


自分の場合は、仕事はもちろんなのですが...。


作務衣、竹虎四代目(山岸義浩)


遊びでも


作務衣、中尾彬、竹虎四代目(山岸義浩)


虎竹アーマーとでも


高知県地場産大賞、竹虎四代目(山岸義浩)


フォーマルな受賞式でも


作務衣、竹虎四代目(山岸義浩)


山歩きでも


作務衣、竹虎四代目(山岸義浩)


ANAの機内でも


RKC高知放送


テレビ番組に出演時でも


作務衣、竹虎四代目(山岸義浩)、インスパイア2019


竹虎プレゼンでも


メキシコ竹林見学、作務衣


「竹」気合の入った刺青とも


作務衣、よさこい祭り、竹虎四代目(山岸義浩)


よさこい祭りでも


竹虎四代目(山岸義浩)、世界竹会議


メキシコはハラパで開催された世界竹会議基調講演でも


作務衣、竹虎四代目(山岸義浩)


海でも


作務衣、竹虎四代目(山岸義浩)


山でも


背負い籠、竹虎四代目(山岸義浩)、作務衣


籠とでも


作務衣、中学授業、竹虎四代目(山岸義浩)


地元中学の授業でも


silviafurmanovich、YOSHIHIRO YAMAGISHI


世界的デザイナーとでも


合宿、竹虎四代目(山岸義浩)


一泊の合宿でも


作務衣、結婚式、竹虎四代目(山岸義浩)


社員の結婚式でも


竹虎四代目(山岸義浩)、zoom


zoomでも


作務衣、スペイン、Vitoria、竹虎四代目(山岸義浩)


虎竹の車体でボックスカートレースに参戦したスペインでも


作務衣パンツ


365日着用しているからパンツも傷みます。特にポケット部分は虎竹長財布を入れるから穴が開きそうなほどです。


虎竹の里、竹虎四代目(山岸義浩)


襟に濃紺の筋が入っていますけれど、これはお洒落やデザインではありません。必要なので当て布して縫ってもらったのです、でもかえって格好がいいです(笑)。作務衣はこうしてツギハギしながら大事に着ていくものなのです。




白竹網代弁当箱のバンブーピラミッド

 
白竹網代弁当箱


バンブーピラミッドと聞くと一体何の事か?と思いますけれど実は大小二種類だった網代弁当箱に、もうワンサイズ大きな特大を作る事になり、それぞれの本体を上蓋に入れた状態を重ねるとこのような形になるのです。


白竹網代弁当箱


特大サイズは弁当箱としてだけでなく小物入れや他の用途にお使いの方も多いので実は前々から作りたいと思っていました。今回は試作も兼ねて白竹で製作してみましたが本来は虎竹で製作するつもりでいましたので、虎竹の網代弁当で3種類のサイズをご紹介できる予定です。


白竹網代弁当箱


日本唯一の虎竹で、このように網代弁当箱が三段重ねになりますと更に迫力満点です。


竹ざる


竹籠3個組


昔ながらの竹籠は用途によって大きさのバリエーションがあった方が便利なので三個入りや四個入りのものが良く作られていました。重ねると効率良く場所も取りませんし、持ち運びしやすいので重宝されていたのです。白黒の写真で籠を山のように積んで走る三輪車を見た事がありますが、竹籠の中に次々に籠を入れてロープで縛られていました。


白竹網代弁当箱


今では大量に籠を編むという事は少なくなりましたのでサイズ違いも目にする機会は減りつつあります。けれど、このように特大、大、小とサイズ違いを並べてみますと、それぞれ単品でご覧頂くよりもアレコレ使ってみたいアイデアが浮かんでくるのではないでしょうか(笑)。




超強力な頑固職人が堅牢に編み上げた深い大きな竹ざる

 
竹ざる50センチ


真竹の竹林に何度か足を運んでいるものの太くて自分の気に入る竹が無くてずっと編む事ができなかったという深竹丸ざるがようやく出来上がってきました。丁寧に竹ヒゴも取られていて、驚く程堅牢な作りの竹ざるです。


米研ぎざる


このように竹ヒゴが横向きに並ぶ編み方を横編みと言いますが小さい竹ざるは小さいなりに難しく綺麗なザルを編める職人は多くありません。


70センチ頑固職人の竹ざる


反対に大きなサイズの竹ざるはと言いますと、技術もさる事ながら厚みのある竹ヒゴを扱うので腕力が必要になります。熟練の竹細工職人で高齢化が進み、以前のような見た目に綺麗で丈夫、そして使いやすい「用の美」にたとえられる竹細工が少なくなりつつありますけれど、このような迫力を感じるような大きな物から姿を消してきました。この70センチの竹ざるなど圧巻です(笑)。




神木隆之介さん主演!牧野富太郎博士がモデルのNHK連続テレビ小説「らんまん」

 
牧野植物園


2023年度前期、NHK連続テレビ小説「らんまん」モデルに、ご自身を「草木の精」と言われていた世界的植物学者・牧野富太郎博士が決定したという嬉しいニュースが飛び込んできました。しかも、主役を演じるのが神木隆之介さんと言いますから、何とも素晴らしいキャスティングをしていただいたものだと思っています。とてもユニークな一面を持たれていた牧野博士を、きっと日本中の皆さんに明るく楽しくお伝えいただけると期待しています。


虎竹の里


日本の植物学の父ともよばれた同氏ですが、実は何を隠そう日本唯一の虎竹の命名の父でもあります。精力的に活動されていた牧野博士も、この美しい虎竹の里に何度か足を運ばれたかと思うと感慨深いものがあります。焼坂の麓からの山道を虎竹を調査しながらきっと歩かれたと思います、そして峠から向こうに竹が全くなくなるのをご覧になられて一体どのように感じられたのでしょうか?


牧野植物園の虎竹


功績を記念して作られた高知市五台山にある牧野植物園(The Kochi Prefectual Makino Botanical Garden)。県外の方に「高知観光で何処が一番ですか?」と聞かれたら、必ず真っ先にオススメする場所が、この牧野植物園です!数年前からはパワースボットなどと若い方にも人気だそうですけれど、竹虎にとっては自分の生まれる前から特別な場所のひとつです。


牧野植物園温室


20数年前に建築家の内藤廣氏設計で建てられた記念館は見事です。オープン時に移植した虎竹の里の竹たちもありますので高知が初めての方なら是非にとご紹介すると、中にはあまりに気に入ってしまい飛行機の便を最終に変更してまで一日ゆっくりしたと大好評いただく植物園です(笑)。朝ドラの放送で沢山の方にお越しいただける事と喜んでいますが、今の時代にこそ必要な癒しのサンクチュアリかも知れません。




名人写しの真竹磨き手提げ籠

 
真竹磨き丸底手提げ籠


かって青物細工で名人と言われていた佐藤千明さんの竹籠を紹介した事があります。今も自分のデスクのすぐ後ろに置いてあって、いつも眺めていますけれど何度となく眺めても機能性と美しさを兼ね備えた独特な形は見飽きる事がありません。その佐藤千明さんが小振りで可愛い手提げ籠を遺されていて、教えを請った若い職人さんが写しの籠を編まれていました、今から9年も前の話になります。


名人の青竹手提げ籠


とても綺麗に編めていたので、その場で頂いて帰りました。男の買い物籠としては少し小さかったので、もっぱら小物入れとして多用していますが、古い佐藤千明さんの籠には及ばないものの、かなり色合いが深まりすっかり無くてはないらな愛着の沸く竹籠の一つになっています。


竹手提げ籠


この写真は青々とした磨きの竹籠から1年~2年経過した頃だったでしょうか?初めて手にした時と比べると、随分と落ち着いた色合いになっていました。


青竹細工の経年変色g


そして今回、自分が愛用する手提げ籠を久しぶりに製作いただける機会がありました。竹と真剣に向き合いキッチリとした仕事をする職人です、沢山の竹をこなして当時より断然腕前を上げられています。二つの手提げ籠は同じように見えて細かい部分は圧倒的な出来栄えで感じ入りました。


真竹磨き丸底手提げ籠、竹虎四代目(山岸義浩)


編み上がったばかりの竹磨き丸底手提げ籠は生まれたての初々しさ、まるで竹の赤ちゃんとでも例えれば良いのか?そんな優しい手触りです。これが時間の経過で濃い飴色のように変わってきて、良く触れる所には光沢が出たりするものですから竹は素晴らしいのです。




竹虎社員の秀逸な似顔絵

 
竹虎社員の似顔絵


先日のバレンタインデーに「女子社員チーム」からチョコレートを頂いた。手提げ袋の中には社員の一人が同僚を描いた似顔絵が入っていて、これが一人一人の特徴を捉えていて面白い。似顔絵の本人達が、この下の画像にいるのだがお分かりになるだろうか?おそらく社外の皆様には言い当てる事は難しいかと思われるが、毎日肩を並べて仕事する仲間ならではの機微をとらえ一枚の絵に出来ているのは社員同士の仲が良いからかも知れない。


竹虎社員


良いチームワーク、社内体制を作っているのは残念ながら自分ではない。人望が厚く、社員に人気の専務が陰になり日向になりスタッフひとりひとりを指導している。竹虎は有難い事に沢山のお客様から嬉しいお声を毎日のように頂く、中には電話やメール、あるいは荷物の梱包でも接客した社員を個人名でお褒めいただいている。お客様に笑顔を届けられるのは、届ける方に笑顔の花が咲いているからだろう、こんな会社が続いていければ日本の未来は明るいと思っている。




日本三大鰻丼(竹虎四代目の)

 
うな丼


昨日の30年ブログで鰻筌のお話をしていたら、もう30年近く前に水戸京成デパートに売り出しに行っていた時の事をおぼろげながらに思い出してきたのです。昔のデパートは夜遅くまで開けているのが普通だったので閉店間際に接客していると随分と遅い時間になります。それでクタクタになってホテルに帰る途中で動けなくなってしまいました。そこで、ふと横を見ると灯がもれている店があるではありませんか、急にお腹が空いてきて「ぬりや」という鰻屋さんに入ったのです。


ぬりや


ところが注文してから、忘れられているのか?と思うほど待たねばなりません。確か1時間近くは待ったように思います、疲れと空腹で極限状態になって倒れそうですが、周りのお客様は当たり前のように静かにオツマミとお酒を飲みながらニコニコしています。鰻屋さんはこうして待つものなのだと初めて知って強烈な印象の残るお店となりました。


竹虎四代目(山岸義浩)


他にも忘れられない鰻丼が二つあって、一つは小さい頃から大阪出身の祖父が難波に連れて行ってくれる度に食べさせてくれた「いずもや」。大学時代の4年間大阪にいましたけれど鰻はこの店でしか食べませんでした。残念ながら現在は閉店してますけれど、この店は織田作之助の「夫婦善哉」にも登場します。その昔、祖母の実家が天六「かね又」という食堂を営んでいて同じように織田作之助が通っていたそうですから食にうるさかった祖父が、そんな関係で「いづもや」を贔屓にしていたのかも知れません。


鰻、入船


最後に宮崎県でナビに間違えて案内された「入船」。ちょっとした村のお祭りと間違えそうなくらいお客様が集まってくるお店だったので普通は絶対に行くことはありません。たまたまトレイに行きたくて仕方なくなって、広い駐車場に車を停めたら偶然にお店に入れる事になって真っ先にお手洗いに行くと...なるほど導かれる理由が分かって尿意を忘れて立ち止まりました、鳥肌も立ちました。「明治二十七年創業」、竹虎と同じでした(笑)。


鰻筌作り


鰻は美味しいです。皆様も大好きだと思います。自分は、このような鰻筌が沢山編まれて透明な川底に鰻が泳ぐのが見られるような美しい自然の中で育ちました。どこの家にもウナギをまな板に固定するためのキリがありました、生命力の強い鰻はさばいても暴れるので頭を打ち付けるのです。少し残酷な話でしょうか、でもそうやって命をいただいて人は生きています。早朝、心地よい川のニオイを胸いっぱいに吸い込んで、ズシリと重たい筌から魚籠に取り出したあの頃の鰻をもう一度食べたいなあ、水量の少なくなった川を眺めて贅沢な事を思います。




鰻筌(うなぎうけ)とウツボ籠

 
鰻筌


漁獲量が少なくなってサンマの値段が上がったニュースなど記憶に新しい所です。虎竹の色付の際にも度々お話する地球温暖化、さらに乱獲や海洋汚染など理由があるようですけれど、サンマに限らずイカやサケなど身近な魚も減少しています。そんな中、ウナギは何と「近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種」絶滅危惧種になっている事をご存じでしょうか?自分の入社した頃には副業もかねて稚魚であるシラスウナギ漁に参加する竹職人もいましたし、更にもっと昔の小さい頃にはこの鰻筌を川に仕掛けて当たり前のように鰻を捕っていました。当時は鰻を地元の店で食することは無く、スーパーなど買う事も皆無、鰻は捕って食べるものだったのです。


ウツボ籠


コロバシとも呼ばれる鰻筌はご覧になられた事のある方もいるかも知れません。しかし、このウツボ漁に使う籠はどうでしょうか?竹編みは全く同じながらヒゴ幅、厚みが全く違うのは獰猛な海のギャングとも言うウツボを籠から逃さないために必要不可欠だからです。このウツボ籠をご存じないのは当然で、実はウツボを食べる習慣があるのは地元高知県の他は宮崎県、和歌山県だけのようです。九州、四国、本州と離れた三県でも、さすが黒潮文化だけあって似ています(笑)。


鰻筌とウツボ籠


鰻筌とウツボ籠を比べてみると、この大きさの違い。ウツボ籠の迫力が更に伝わりませんでしょうか?


エギ


しかし、どちらも同じエギあるいはコジタとも言う竹の弾力性を活かした仕掛けは同じです。一度入ると出られない鰻やウツボにとってはコワイ罠なのです。




トイレットペーパーもカッコ良く見られたい

 
虎竹トイレットペーパー籠


自宅や会社のトイレでは片隅に数個積んで置かれていたり、戸棚に仕舞われていたりするトイレットペーパーをお洒落に収納する事はできないか?トイレットペーパーもカッコ良く見られたいのではないか?そう思って出来たのが虎竹トイレットペーパー籠です。


虎竹トイレットペーパー籠


実は当初はもっと粗目の編み方で簡素な作りの籠にしていました。トイレットペーパー収納だけを考えるのならそれで十分でもありましたけれど、毎日頂く皆様からのご感想で他の用途でもお使いいただける汎用性があり高級感のある今の形になったのです。


虎竹トイレットペーパー籠


虎竹トイレットペーパー籠


そもそも籠を作る事になったキッカケはモダン和風な旅館さんからのお問合せでした。コロナ禍と言えどもお越しいただけるお客様を、少しでも気持ち良くおもてなし出来ればとの思いが伝わりました。旅行業界にとりましても大変な時期が早く終息することを願わずにいられません。




コロナ手荒れ、竹酢液泡石鹸ハンドソープ詰め替え用

コロナ手荒れ、竹虎四代目(山岸義浩)


一時は良くなっていた手荒れが又ひどくなってきました。コロナ感染の広がりで手の消毒を一日に何度もされる方がいるかと思いますが、自分のように肌が弱いとたった一回のアルコール消毒でもすぐに反応して指先や指の間に赤い発疹が出て痒くなってきます。だから出来るだけ消毒をしなけけばならない場所には近寄りません、そして消毒の代わりに手洗いは小まめにしています。手洗いも肌が乾燥しすぎてしまって良くはないものの石鹸で手洗いした後に保湿クリームを塗ればかなり改善できます。


竹酢液泡石鹸ハンドソープ


遺伝でしょうか、家族も肌が弱いので今回手荒れ対策に作った竹酢泡石鹸ハンドソープが好評で詰め替え用をと声が上がりました。実は、まだまだ詰め替え用が必要など販売もできていないものの少し無理をして(汗)2回分詰め替えられるタイプを製造中です。


 
減圧蒸留竹酢液


竹酢液は様々な有効成分が含まれるものの強めのニオイがあるので、今回のハンドソープには減圧蒸留した竹酢液を使用していて、ほのかに竹酢が香ります。


竹酢液泡石鹸ハンドソープ


香料や着色料は、もちろん無添加、保湿成分である植物由来のグリセリン、ジクリセリンの他は水とカリ石鹸素地と竹酢液だけです。ステロイドを塗って薄い使い捨てのビニール手袋して布団に入れば、朝は比較的綺麗な指なのですが夕方には又荒れているという毎日を繰り返す、自分のようなコロナ手荒れの方にお使いいただきいと思います。




竹の筒

 
竹盛器


は、皆様ご存じのように稈の中が空洞になっていていますので節の部分で切れば、そのままコップのような容器として使う事ができます。そこで青竹をそのまま切ったような食器を求められるお客様からのお問い合わせも多いのですが、実際にはそのような竹製品はありません。表皮のついた青い竹のままでは数日のうちに退色してしまいますし、そのような生の竹にはカビも生えるので衛生的ではありません。


竹筒


そこで表皮を削り、竹の大きな竹の弱点である「割れ」も改善しつつ場合によっては炭化加工といった熱と圧力で蒸焼き状態にしてカビ対策や防虫効果を高めた容器が作られます。確かに容易ではないものの、せっかくの天然竹の面白みのある筒の形状と節とを活用したい思いからです。竹容器には透明のテカりがありますけれど、これは好きではなくても必要なウレタン塗装。竹の種類によって直径は随分違うので太い孟宗竹や少し小振りな真竹が多用されています。


ちなみに日本三大有用竹と呼ばれて、皆様が竹と聞いてすぐに思い浮かべる孟宗竹、真竹、淡竹(はちく)は似て非なるものです(笑)。簡単な見分け方は下の動画をご覧いただくとすぐにお分かりいただけます。




早川尚古斎作の竹帽子

 
早川尚古斎作竹帽子


前に早川尚古斎と言う方の竹帽子を美術館で拝見したことがありました。今ではこんな竹細工できる職人はいません、改めて昔の竹の技術の高さを思っていました。


早川尚古斎作竹帽子


そしたら先日その帽子を手にする機会があって何とも感激、やはり竹は手に触れないといけません。ガラスケース越しに想像した質感と重み、素晴らしいものでした。


竹帽子180829006.jpg


自分がいつも被る竹帽子は、ずっと簡素な作りです。


竹帽子の職人


地元では名人と言われた竹職人が、自分の父親がたまの休日に映画を観に行く時に使っていた帽子を見よう見真似で編んだ竹帽子。自分にはこっちが似合ってます。


編み上がったオカメザサの籠を手にして

 
オカザサ、メゴ笹洗濯籠、竹虎四代目(山岸義浩)


オカメザサ洗濯籠が編み上がってきました、高知ではメゴ笹と呼ぶ非常にしなやかで竹編みには適した竹材です。竹材と言いましたが、まるで笹のように細く小さいのですが立派な竹の仲間です。竹には伐採の時期がある事は度々申し上げていますけど、伐採時期をしっかりと守ることが素材の品質管理をする上で大切になってきます。


オカメザサ、神楽笹


孟宗、淡竹(はちく)、真竹でも筍の生える時期が違うので実は伐採時期は竹や地域によって異なっています。オカメザサ(メゴ笹)も一年の内に数ケ月程度しか伐採に適した期間はありません。決まった伐採時期があるのは他の竹材と同じなもののオカメザサのやっかいな所は、伐採して数日の間に編み上げないと堅くなって竹材として使えなくなる事です。


オカメ笹、神楽笹籠


これは籠編みの素材としては本当に難しい。虎竹や真竹なら竹材を一年間保管しておいて必要なだけ割りながら使う事ができるのに、オカメザサ(メゴ笹)洗濯籠は伐採して5日間程度しか使用でません。だから竹虎でも一時は「幻の籠」とずっと言われて続けてきて見ることすらできなかったのです。


メゴ笹籠


それにしても出来あがったばかりの青々としたオカメ笹の籠は水分を含んでズシリと手にきます、小振りな持ち手付の籠でも「えっ?」と思うくらいの重さです。


メゴ笹手付き籠


ところが、これがほんの数日も経過すると、みるみる青みが抜けてきます。白っぽく乾燥してきて、自分が数年使う籠など最後には体感で3分の1くらいの軽さになって持ち運びもも楽だし扱いやすくなっています。さらに編み込みがギュッと締まる事によって硬く強くなるから最高に素晴らしい籠なのです。




手付き、丸足付きの真竹四ツ目籠が登場です

 
手付き四ツ目籠丸足付き


素朴な四ツ目籠が新しく仲間入りしました。何という事のない、このような普通の真竹で編まれた青竹細工こそは、今まで一般のご家庭はもちろんのこと、農作業にしても漁業にしても、あるいは山仕事などでも多用されてきた竹です。しかし近年、このような暮らしの竹こそが他の素材に置き換わってしまったり、海外生産のものが大量に市場に入って来たりして需要が激減し職人も少なくなりつつあります。


手付き四ツ目籠丸足付き


手付き四ツ目籠丸足付き


そんな中、新しい青竹細工をご紹介できるのは嬉しい事ですが当たり前の四ツ目籠では面白くありません。今回の四ツ目籠は昔ながらの何処にでもあった竹籠でありながら、頼りなさそうに細く見える竹ヒゴからは想像できないほど丈夫な持ち手が付いていてデザイン的にも新鮮ですが何より生活道具として使いやすいのです。


手付き四ツ目籠丸足付き、竹虎四代目(山岸義浩)


手付き四ツ目籠丸足付き


更に四本の竹足にご注目いただきたいのですが、直径の細い丸竹なので太い竹に比べて割れるリスクが少なく、全ての足には竹節を入れて強度も十分です。重たい根菜類を入れて野菜籠としてご愛用いただく場合にも通気性を保ちながら長くお使いいただけます。


手付き四ツ目籠丸足付き


手付き四ツ目籠丸足付き、竹虎四代目(山岸義浩)


縁巻も室内で使うには過剰だと思うくらい堅牢な作り。時間の経過と共に青い色合いが落ち着き自然な風合いに変わってくいのは毎度お話させていただく通り、数年使った深さのある四ツ目籠は竹表皮の青さと身部分の区別がつかないほど渋い感じに籠が成長しています。




節付き白竹箸

 
天節白竹箸


真竹を使って製造した白竹箸は手頃感もあって、なかなかの人気です。竹の清々しさも感じられ定番として安心してお使いいただける一膳かと思います。さらに天節とよばれる持ち手部分の一番太くなった端に竹節をあしらっているのが一目で竹でお分かりいただけて良いのかも知れません。


青竹箸、白竹箸


お正月にお使いいただく事の多い青竹箸には竹節がありませんので比べていただくとご覧の通り竹節のあるなしで雰囲気がかなり違います。若い世代には竹が身近でなくなっていますので節がないと竹と気づいて頂けないのではないでしょうか。実際、コンビニのお弁当はは良く食べる事はあっても、手にしている割り箸が竹だと知っている方は多くないように思います。


竹箸の維管束


白竹箸は身の厚い真竹を素材に製造しています、切り口をみると黒い模様が見えています。これが維管束といって竹に水分や養分を運ぶ管で竹表皮に近いほど密度が濃く丈夫なのです。


白竹箸


お箸は口に入れるものなので無塗装へのお問合せを多く頂戴していますし、関心も高いようです。しかし、この白竹箸にはウレタン塗装をしていますし、虎竹箸などの場合には漆をかけます。無塗装竹箸もございますが、無塗装箸が自分のイチオシではありません。


無塗装竹箸


前にもご紹介させてもらった事があったように思いますが、それぞれ違う無塗装竹箸の使用前と使用後を比べています。箸先が茶色く染まったように見えるのが無塗装箸です、このような色移りやカビなどにより一層注意してご使用いただかねばなりません。




使えないほど美しい真竹四ツ目ざる

 
虎竹四ツ目ざる、真竹四ツ目ざる、竹虎四代目(山岸義浩)


虎竹と真竹を使って同じ四ツ目編み竹ざるを編んでもらいました。竹材の違いで出来あがった竹ざるの風合いはこれだけ異なりますが、この道数十年の熟練職人が手掛けただけあって完璧な仕上がりです。


真竹四ツ目ざる


竹ざる縁巻


虎竹は表皮の虎模様をそのまま活かしているのに対して、真竹の方は「磨き」と言って竹表皮部分を薄く剥いだ竹ヒゴを使っています。「磨き」というのは刃物を竹表皮に当てて、まさに磨くように青竹表皮を削っていく様子をご覧いただくとお分かりいただけます。こちらの動画の最初に本当に少しだけですが、この工程が出てきますので関心のある方はご覧ください。




虎竹と真竹


真竹四ツ目ざる


このような青物細工は、長い経験がものを言います。これだけの品質のざるを何枚も編み続けられるような職人は多くありません。しかし困ったことに、あまりに美しく編まれているので竹虎で普通に販売されている当縁の四ツ目干しざるのように気軽に野菜干しには使えそうにありません。




金明孟宗竹と黄金孟宗竹

金明孟宗竹


白い竹林の育種と研究を30年に渡って続けられてきた田代さんは、1万坪もの広さの竹林で金明(キンメイ)孟宗竹や黄金孟宗竹の固定化にも成功されている。金明孟宗竹とは、黒竹の白い葉と同じく孟宗竹の突然変異であり、黄金色になった稈の部分に緑色が節間に入っている。実は地元高知の日高村という所にも、この金明孟宗竹は成育していて県指定天然記念物とされている。


黄金孟宗竹


この金明孟宗竹を母竹とした、稈がすべて黄金色に輝く黄金孟宗竹の林も拝見した。


黄金孟宗竹


以前、黄金色に輝く黄金孟宗竹として30年ブログで紹介したように全国各地に生えている孟宗竹なので散発的に金色の竹はあるものの、こうして竹林に固定化しているのは素晴らしい。あの時は竹に西日が当たりキラキラ輝いて神々しくさえあったけれど、この規模の竹林なら光具合によっては物凄い事になるかも知れない(笑)。


竹葉


竹の種類を聞かれる事がある、「世界に1300種類、日本には600種類」とお答えすると皆様驚かれる。しかし、実は竹と笹の違いも大雑把な区別があるだけで明確ではなく、竹の研究はこれからなのだ。だから、竹は一筋縄ではいけない。


金明孟宗竹


金明孟宗竹の竹林に縞模様になった竹が混じっている。キンメイモウソウチクとは別にギンメイモウソウチクと言うのがあって、色合いは真逆となる緑色の稈に黄金色の筋が入る。もちろん、それとは見栄えが違うしギンメイの縞模様とも違うようだ。


金明孟宗竹


そうかと思えば節を貫いて半分が金明、半分が孟宗竹という面白い竹まで生えている。キンメイチクは各地で見られるが、このように珍しい竹が沢山あるのも長年大切に竹を育ててきたこの竹林ならではだろう。


金明孟宗竹


竹の稈は3層の多層構造組織になっていて、第1層は黄色易変性遺伝子が含まれ、第2、第3層には緑色易変性遺伝子が含まれると言われるので稈の第1層が薄くなり第2、3層が露出することが金明孟宗竹の色合いの原理だそうだ。黄金色が縁起も良く、多様な模様ができて美しい竹達だが、これを伐採してしまうと色合いが消えてしまう、伐採して様々な竹細工に活かしていける日本唯一の虎竹との大きな違いはここだ。金銘孟宗竹は、竹林や庭園用として人を和ませ楽しませてくれる竹なのだ。


黒竹に白い竹葉の幻想的な竹林

孟宗竹


は一年を通して青々と繁り、見た目にも美しく逞しい生命力を感じさせる。実際には紅葉もすれば落葉もするのだけれど、その期間が短く人が気づかないほど早く若葉が生え変わるので、古来神秘的な力のある植物として神事に使われてきたし「松竹梅」という縁起物ともなっている。


突然変異の竹


ところが青いはずの竹葉が真っ白くなった白い竹林があると聞いて前々から気になっていた。場所は千葉県四街道市、おそらく世界でも他には見る事のできない息をのむ幻想的な竹林だそうだ。


白い竹葉


そもそも白い竹とは葉緑体のDNAが突然変異したもので、黒竹の葉だけが純白になったものである。真っ黒い稈の黒竹に対照的な白い竹葉は確かにアッと驚くような竹林に違いない。


竹の花、竹の開花


今回自分がお伺いした時には、ちょうど竹の花が開花をはじめており竹の本数も激減し、黒い色合いが付き切らない竹稈には稲穂のような花が咲き乱れていた。


白い竹林


残念ながら黒と白の見事な色合いは見られなかったが、この地で想像するだけで凄いものだろうと思う。しかし、葉緑素を持たない白い竹が光合成できずに枯れてしまうのでは?という素朴な疑問が沸いてくる。実は、竹は地下茎で縦横無尽に繋がっていて青い葉をもった竹が白い竹に栄養分を送り助けているのだ。だから恐らく昔から、同じ突然変異は単発的にあったのだと思うが、このように栽培を続けて竹林と呼べるまでにされている事は素晴らしい。今度は、復活した白い竹林を是非拝見したいと思っている。


真竹磨き細工の季節

 
真竹手提げ籠バッグ、bamboo bag


この季節は伐採したばかりの真竹も豊富で、香りたつような青々とした竹籠ができあがり心躍ります。この真竹磨き細工もそんな竹のひとつ、まだ瑞々しい竹の表皮を薄く剥いで編まれたばかりの赤ちゃんのような初々しさを感じます。


買い物籠と竹虎四代目(山岸義浩)、bamboo bag


持ってみると、こんな感じ。ちょっとしたお買い物のお供に最適です。


真竹手提げ籠力竹、bamboo


特徴的なのは伝統を見るような丈夫な力竹。籠は底の四角が一番傷みやすいので縦横二重に入れられた厚みのある竹材と、更に底面にはクロスさせた竹が入っている堅牢さです。


真竹磨きの表皮


真竹楕円磨き手提げ籠バッグ、bamboo bag


綺麗な磨きの竹表皮と共に、キッチリとした楕円形が丁寧な性格の職人の人柄そのもののよう。外に持ち歩くのも良いですが、野菜籠やフルーツバスケットとしてインテリアにもなる端正な作りです。


竹磨きの美しい経年変色


いつもお話させて頂くように磨きの竹細工の楽しみはこれからです(笑)。長く愛用するうちに竹の色合いが落ち着き段々と赤みがかった黄土色に変わってきます。


数年経過した真竹磨き竹細工


こうなると随分成長した姿、竹籠は使いながら、時には手直ししながら楽しむものなのです。さて、磨きの竹細工とは?手提げ籠バッグがどうやって編まれているのか?ご覧になりたい方はコチラの動画がオススメです。昔ながらの特徴的な淡竹(はちく)を使った買い物籠を編み上げる様子を30分にまとめています。




竹炭うどんと竹製箱型すだれ蕎麦皿

 
竹炭ざるうどん


竹炭うどんの美味しさが忘れられずに、今度はまたまたクール便で麺を送っていただいて自宅で楽しませてもらいました。饂飩は喉で食べると言いますけれど、細麺でありながらもモチモチそしてツルツルした食感がどうにも思い出されてしまうのです。


竹炭手打ちうどん


竹炭饂飩麺


うどん粉の香る工房の中で手打ち麺を間近で拝見させて頂いたせいもあるのでしょうか?いやいや本当にこうして画像を見ているだけでヨダレが出てきそうです(笑)。


竹製箱型すだれ蕎麦皿


とびきりの饂飩を食するには、最高のザルを用意せねばなりません。そこで登場するのが昨年作ったばかりの竹製箱型すだれ蕎麦皿です。文字通り竹集成材を箱型にしていますので簾にのせた麺から落ちる水気でテーブルを水に濡らすことがありません。


竹製箱型すだれ蕎麦皿


竹炭うどん


蕎麦やうどんの専門店でしたらお盆の上にのせて運ばれて来て使いますので気にする必要もありませんけれど、一般のご家庭ではこの箱型が活躍して大好評なのです。しかし、竹炭の入ったブラック麺、何度も見てますが迫力あります。