かってメゴ笹洗濯籠が「幻」と聞かされていたお話を何度かさせていただきました。オカメ笹とも神楽笹とも呼ばれるメゴ笹は、しなやかで編みやすく、竹のように割ってヒゴ取りする事もなく使えるので非常に秀逸な竹素材だと思います。ところが伐採してから、すぐに使用しないと数日のうちに乾燥してしまい曲げる事すらできなくなってしまいます。
そんな幻のメゴ笹に、今度はこのような小さく可愛い手付き果物籠ですから昔の自分からすれば、まさに奇跡と言っても大袈裟ではありません。
昔はコタツにミカンが冬の定番でした。どこの友達の家に遊びに行っても必ず居間のテレビ前にドンと置かれていて家族団らんの中心にあったのです。思い出すと、母の実家には囲炉裏がありましたので炭火を囲む暮らしがコタツに変わっていたのでしょうか。そんなコタツは現在では姿を消しつつあるものの、ミカンは健在です。
メゴ笹は自然の竹材そのままに編んでいきますので、太い材料は大きな籠に、小さな材料はこのような小振りな籠に使います。
編み上がったばかりのメゴ笹は、歓声があがるほど鮮やかな緑色を放ち美しいものです。しかし、この青さは工房だけで味わえる色合いで、これはこれで良いものではありますが本当のメゴ笹の良さは色合いが落ち着いてからにあります。長く愛用して驚くほど軽く、硬く締まりベージュ色になった洗濯籠など本当に手放せません。
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