SDGsは知っていても、誰も知らない「楽屋」、最後に残された国産竹材

楽屋の竹工場


昨年、ひとつの竹材加工場をご紹介させて頂いた事があります。沢山積み上げられた竹材、竹割機械の動く大きな音、竹の香り、まるで数十年前の自分たちの工場に戻ったかのような懐かしい仕事に見入りました。虎斑竹も虎竹模様のついていない竹材は、壁竹として決まった幅に割っていましたので、まさに目の前で竹割機械を使う職人さんの仕事そのものだったのです。


楽屋竹割素材


ただ同じ竹と言っても淡竹の仲間の虎竹とは違い、かなり肉厚な孟宗竹を使っていますので少しばかり迫力が違っていました。SDGs(持続可能な開発目標)と言う言葉を色々な所で目にしますけれど竹は継続利用可能な唯一の天然資源であり、国内ではほとんど利用されていない孟宗竹の利用は里山保全の観点からも非常に大事です。割った孟宗竹は上手く考えられた機械に一本づつ入れてハリガネで簾状に作られていくのですが、完成した製品を使う用途を聞くと丈夫な竹材を使う理由に納得します。


千両畑


実はこうして製造された孟宗竹簾は、寒い冬場に赤く綺麗な実をつけて正月の縁起物として人気のセンリョウの栽培に使われるのです。センリョウ=千両につながりますので商売繁盛や金運アップとしても知れられるそうですが、強い日差しや風に弱い植物なので成育には日除け、風除けするための孟宗竹簾が欠かせないのです。孟宗竹の簾を使って四方はおろか天井まで囲う「楽屋」を初めてご覧になられたら、きっと驚きます(笑)。もうすぐ迎える2022年の新春を飾るセンリョウは、こうして栽培されているのです。




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