高知では先進的な竹細工の草分けで7年前に引退されたレジェンドのように思っている職人がいる。その方が自ら竹林に入り伐採した真竹を、自作した湯抜き釜で晒しにし、独創的な感覚で編み上げた蓋付き手提げ籠バッグを大事に保管して長く愛用している。飴色に変わっていく逸品を手にする度にその堅牢な編みに感激し職人を思い出す。
「ワシの技の集大成じゃ」その職人がポツリと言う竹手提げ籠バッグがある。楕円形の優しいデザインと長い籐持ち手は女性向けでもあるようで、インナーバッグに入れたノートパソコンが入る大きめサイズなので男性でも十分に使う事ができる。
秀逸なのは何と言っても「カチリ」と閉まる上蓋だろう。竹の籠バッグは色々とあるけれど、蓋付きのものは高い技術力が必要なので満足できるものは、ほとんど無い。
「ロックが付いちゃある」
なるほど、しっかり閉まって逆さにしたくらいではビクともしない。精巧な作りを職人はこう言って自慢する。
細かい部分まで神経の行き届いた竹籠バッグを持ってでかけるのは楽しい。
竹材も遠くから取り寄せられる時代、自ら竹を運び竹材加工までして編み上げた籠には何倍もの思い入れがあるようだ。
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