仁淀ブルーとして有名になった仁淀川ですが水の美しさは昔から知られていて、キャンプに行った時など流れる水をそのまま煮炊きの水に使っていました。公開中の映画「竜とそばかすの姫」の舞台にもなっていると聞いた時にはビックリしましたけれど、地元では一足先に全国に知られていた四万十川以上に認知度の高い川だったのです。そんな仁淀川に沿って県境に向かう山々の竹林は青々としてさすがに元気そうで安心しました。
そして谷筋に沿って続く山道を登った支流には懐かしくホッと安らぐような景色が残されています。青い空と濃い緑、白い水しぶきを見ていますと、つくづく高知は素晴らしい所だと思うのです。
橋の上から麦わら帽子のお爺さんと子供たちが伝統の鮎の玉しゃくり漁をしていました。鮎は縄張り意識が強く同じ岩場をグルグルと回っているので泳ぐコースを見定めて意外なほど小さい針で素早く泳ぐ魚を引っ掛けるのです。水面は随分下だし、これでは釣れないだろう...ところが予想に反して釣れていました(笑)。
自分の小さい頃には虎竹の里も川の水量はいつも豊富に流れ、鰻ウケをつかって鰻などをよく捕まえたものです。いつかお話させていただきましたけれど、どこの家庭に行っても鰻をまな板に打ち付けるキリが台所に常備されていました。鰻は川で捕って食べるもので、大学に行くまでお店で食べた鰻は祖父に連れられて大阪千日前にあった「いづもや」だけでした。
先日、たまたま工場から見える安和川で父と一緒にウケを沈めた日の事を思い出していました。面白いものです仕掛けた場所、重しに使った石、川のせせらぎ、風に揺らぐ川草など色々覚えています。
そんな豊かな景色がここには残されていて川を見ていたら一時間経っていました。
人の暮らしの中に切り離せない存在として川があり、鮎や鰻もその一部です。そんな生活の中から編まれる籠だから迫力があります。名人は毎朝10匹もの鰻をハエナワで捕ると話してくれました、大物が飛び出さない籠の高さ、かっちりはまる上蓋、ずっしりと重い鰻籠を支えなければいけない力竹、この籠は本物です。
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