不要不急と言うことを毎日のように耳にしますので、今は温泉旅館に行かれるような事は少ないかと思いますが、この塗り脱衣籠は人気の温泉街にあるホテルや宿屋さんなどで浴衣を入れて使われている籠です。もちろん着替えを入れてご自宅使いにされる事も多い定番のひとつです。
塗り脱衣籠は、しばらくの間製造できなくなっていた竹籠です。復刻する機会に元々は真竹で製作していたものを強度を高めるために竹素材を太い孟宗竹に変えました。枠に当たる口巻の部分などには長く太い竹が必要だったからです。
旬の良い時期の竹ばかりで製作されますが、近年は虫が喰う事が多くなりましたので塗り加工して仕上げてから穴を開けてしまうと大変です。そこで素地のまま数ケ月、長いものだと一年以上も保管しておいて様子を見ていました。ところが今度は乾燥の具合によって細い竹ヒゴが弾いてしまっています。
孟宗竹は少し硬めの素材です、しかし同じ編み方でも全く平気なものもあれば、そうでないものもあり竹の個性次第なのでその辺りにも気を配らねばなりません。つくづく竹の難しさを感じる毎日です。
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