タケトラカミキリ登場

 
タケトラカミキリ、竹虎四代目(山岸義浩)


お盆休みも終わり、いよいよ夏休みの宿題が気になってくる時期でもありますが、課題の昆虫採取だと虫を捕まえて呑気に遊んでいる訳ではありません。この虫は竹虎ではお馴染みのタケトラカミキリ、ご存じのように竹を食べてしまう害虫です。


暑中見舞いの絵葉書


暑中見舞いで届いたお葉書に上手に描かれているカブトムシや蝉など皆様にお馴染みの昆虫かと思います、ところが虎竹の里で虫と言えば近年では、このタケトラカミキリがどういう訳か自分の車の中にもいたりして驚きます。


渡辺竹清作衣装籠の虫


この虫は竹表皮に大きな穴を開けてしまいます、けれど自分の私物である渡辺竹清先生の網代編み衣装籠を食べて粉を落としていたのは、チビタケナガシンクイムシという小さな竹の虫。竹を厳選して数十年前に編まれた作品でさえも、このように食害にあうので最近編まれた竹細工や竹製品に虫が穴を開けるのは仕方ない事かも知れないと思います。


渡辺竹清作衣装籠


ここ数年、山の職人減少でしっかり管理された良質の竹材が少なくなりつつある事、そこに温暖化などの気候変動、そして8月11日の30年ブログでお話したように天狗巣病と、竹は難しい局面に来ています。これからも長く竹文化を繋げていくには竹林、作り手、使い手のそれぞれが現代の竹の問題を共有し、理解し合い三方良しの関係を築いていく必要があります。


煤竹クワガタ、カブトムシ


自分の小学校時代には竹の端材を工場横に山積みにしていて幼虫が沢山いたのでカブトやクワガタが自宅の庭木で捕れたものです。昆虫が身近なだけに、竹を使ってこのような竹細工の虫を作る方は多いのですが意外と人気が無い事を大人になって知りました。実は都会の方にとって、このような虫がコワイそうなのです。リアルな昆虫ほど「ギョッ」とした顔をして除けていくお母さん方に沢山出会いました。


もちろん、この煤竹のクワガタ虫のような大きな虫が飛び出してくる訳ではありません。しかし防虫剤も使っていない竹細工をお届けしている限りは虫が食べてしまう可能性がある事、それが自然な事で先人たちはずっとそんな竹と付き合ってきた事を知っていただきたいと思います。




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