400年の歴史がある越中福岡の菅笠でも優雅な富士笠を見ていると真っ青な空の下で雪をかぶる美しい富士山を思い出す。
富士山の雄大さには感動するが、自分の場合はそれよりも感極まるのが富士笠の下に隠された竹骨だ。写真の右前に「富士(五寸)」と書かれているのが富士笠の土台となっている竹骨、日本の笠は雨の日にさす傘も含めてイコール竹なのである。
この竹骨に耐久性、防水性の高い菅を一針づつ縫い付けて作られる笠のことを以前もこの30年ブログでご紹介した事がある。この地方の女性が嫁入り道具として菅笠作りの小箱を持参する話を職人さんの仕事場で聞かせていただいたのは忘れられない。
ところが竹骨に魅入られた菅笠にも抗えない時代の変化がやって来て久しい。竹骨職人が減少したせいで量産できなくなった菅笠の下に見えるのは何とプラスチックなのだ。竹を使う事ができなくなった現状を憂いているけれど、それよりこの事になんの疑問も持たない、知らない人々の多さに閉口する。
厳冬の中、色々な種類の竹骨を製作し続けている職人は本当に楽しそうだった。これが全て、自分の大好きな竹人だと思った。
あなたの笠は竹骨だろうか?美しい富士山が本物ならよいのだが。
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