この曲線美を初めての方がご覧になれば一体何か!?と驚くこと間違いありません。大きく曲がりくねった節のラインが一本である事がお分かりいただけるかと思いますが、実はこの竹は元々は孟宗竹でその変種が固定化された亀甲竹(きっこうちく)と言う竹なのです。
特にのこの竹は煤竹になっています、囲炉裏の民家で長い年月燻された色合いは人の手では再現が難しい時間職人だけが醸し出せる技と言えます。
中にオトシを入れて一輪差しとしてお使いいただくように製作していましたけれど、このまま何もせずとも置物としても存在感を発揮しそうです。
孟宗竹の竹林に入ると真っ直ぐに伸びた竹林が清々しく気持ちがよいものです。縦の線、横の線、まさに直線の世界。
そんな中で、この亀甲竹です。同じ竹からどうしてこのような違いになるのか不思議に感じてしまいます。けれど、植物にはこのような突然変異が時として起こることがあり日本唯一の虎竹も同じように淡竹の変種と言われているのです。
そして竹は、微妙な気候や環境の変化に敏感に反応します。虎竹が他の土地に移植しても美しい虎模様がでないように亀甲竹も何処でも育つというものではありません。本社工場が新築した際に京都のお得意様から立派な亀甲竹ほ十数本も頂いた事がありましたので庭に植えて愛でておりましたが、年々このコブのような曲りが少なくなってくるのです。
最終的には亀甲の曲りが全くなくなり普通の孟宗竹に戻ってしまい驚きました。さらに、それからやはり土質や気候が違うのか段々と弱っていって今では一本も残っていません。生命力が強いと思われている竹ですが、その種を残していくのは簡単なことではありません。
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