虎竹掛け花籠の名前は啄木鳥(きつつき)

虎竹掛け花籠 啄木鳥


これからの季節は登山やキャンプで森林に入る方も多くなっているのではないかと思いますが、木を叩く音は山の中でも独特なので、ああキツツキだなあとすぐに気づきます。自分はずっとキツツキという名前の鳥がいるものだと勘違いしていましたけれど、実はキツツキという鳥はいなくて木を叩く習性のある鳥はすべてキツツキなのです。長い間キツツキと思っていた鳥はアカゲラという名前の鳥でした(笑)。
 

虎竹花籠きつつき


まあ、それはさておきキツツキと聞いて思い浮かべるのは硬い樹木に穴を開ける鋭いクチバシ。この虎竹花籠が柱に掛けられている姿をみれば、なるほどと納得いただける形ではないでしょうか。


虎竹掛け花籠キツツキ


掛け花籠には籠の裏側にカズラが取り付けられていて、こうして柱や壁に引っ掛けてお使いいただけるようになっています。


虎竹掛け花籠 啄木鳥


都会の駅構内には洒落た花屋があって、お手頃な値段で可愛い花束を売っているのを見かけます。一度は出張中にどうしても欲しくなってつい購入してしまい、ホテルの部屋に飾ったことがありますが花器など何でも良いのです。竹花籠も同じ、このキツツキなど狭いお部屋でも場所を取らずに使えるので気軽に自分流に楽しめば良いのです。




自然の創り出す亀甲竹の造形美

煤亀甲竹


この曲線美を初めての方がご覧になれば一体何か!?と驚くこと間違いありません。大きく曲がりくねった節のラインが一本である事がお分かりいただけるかと思いますが、実はこの竹は元々は孟宗竹でその変種が固定化された亀甲竹(きっこうちく)と言う竹なのです。


亀甲煤竹筒


特にのこの竹は煤竹になっています、囲炉裏の民家で長い年月燻された色合いは人の手では再現が難しい時間職人だけが醸し出せる技と言えます。


亀甲煤竹筒


中にオトシを入れて一輪差しとしてお使いいただくように製作していましたけれど、このまま何もせずとも置物としても存在感を発揮しそうです。


孟宗竹


孟宗竹


孟宗竹の竹林に入ると真っ直ぐに伸びた竹林が清々しく気持ちがよいものです。縦の線、横の線、まさに直線の世界。


亀甲竹


そんな中で、この亀甲竹です。同じ竹からどうしてこのような違いになるのか不思議に感じてしまいます。けれど、植物にはこのような突然変異が時として起こることがあり日本唯一の虎竹も同じように淡竹の変種と言われているのです。


亀甲獅子口


そして竹は、微妙な気候や環境の変化に敏感に反応します。虎竹が他の土地に移植しても美しい虎模様がでないように亀甲竹も何処でも育つというものではありません。本社工場が新築した際に京都のお得意様から立派な亀甲竹ほ十数本も頂いた事がありましたので庭に植えて愛でておりましたが、年々このコブのような曲りが少なくなってくるのです。


亀甲竹掛け花


亀甲竹


亀甲竹シシ口


最終的には亀甲の曲りが全くなくなり普通の孟宗竹に戻ってしまい驚きました。さらに、それからやはり土質や気候が違うのか段々と弱っていって今では一本も残っていません。生命力が強いと思われている竹ですが、その種を残していくのは簡単なことではありません。




RKC高知放送「ビビっとビビる!!」で土佐遺産認定

RKC高知放送「ビビっとビビる!!」竹虎四代目(山岸義浩)、ビビる大木さん


ビビる大木さんと言えばジョン万次郎資料館名誉館長であり高知県観光特使であって高知では馴染みの深い芸能人のお一人です。そんなビビるさんが出演されるRKC高知放送のテレビ番組で県下の様々なレアなモノや人にスポット当てて土佐遺産に認定するという「ビビっとビビる!!」なるコーナーがあります。


RKC高知放送「ビビっとビビる!!」、竹トラッカー


今回は竹虎が土佐遺産にふさわしいか、どうなのか?取材にやって来られたのはRKC高知放送のアナウンサー雫石さんです。ネクタイを締めてニュースを読んだり、情報番組の司会をされているのは拝見していましたけれど、今回はいきなり筋肉ムキムキのタンクトップに驚きました。


RKC高知放送「ビビっとビビる!!」、雫石さん、竹虎四代目(山岸義浩)


ビビる大木さん、雫石さん


しかし、番組内では自慢の筋肉を前面に出しながら懸命に竹虎のアピールをしてくださりました。大木さんとのやり取りでは世界竹会議の話にまで及びます、世界50か国の国と地域から竹の専門家が集う「竹のオリンピック」とも言われていますが東京で開催されるオリンピックもまさに目前に迫っていますのでタイミングも良かったかも知れません。


RKC高知放送「ビビっとビビる!!」


RKC高知放送「ビビっとビビる!!」


さて、結果の方はどうだったかと言いますと見事「土佐遺産認定!!」忖度ナシでぶっつけ本番で大木さんの判断で決まりますので画面の言動をドキドキしながら凝視してましたけれど認定いただきホッとしました。


花籠、虎竹四海波と白竹四海波

虎竹花籠四海波


思わず手に取ってしまいたくなる程の可愛い花籠があります、それがこの虎竹花籠 四海波。直径9センチ、高さは7センチ、持ち手まで含めても11センチしかない本当に小振りな籠です。このサイズならリビングでもキッチンでも玄関や洗面台にだって場所を選ばず飾って頂くことができると言うものです。

 
虎竹花籠 四海波


虎竹花籠四海波


ワンサイズ大きな(豆)籠と比べても、(豆々)はこれだけのミニサイズ。豆サイズというネーミングからも元々はもっと大きな花籠の小型版だとお分かりいただけるかと思います。定番の竹花籠だけあって、昔は数種類のサイズが編まれていたのです、そこでちょっと面白い籠を作った事があるのでご覧いただきたいと思います(笑)。


白竹花籠


実はこれは手付きではないものの虎竹四海波と同じ編み方で製作された白竹四海波です。なるほど竹の種類が違うのか...と思いきやどうでしょうか?


白竹花籠四海波


実はサイスが桁違いです!こんなビックサイズの四海波はあまり作る事もなくなりましたけれど、先日たまたまお客様からのご要望で特別サイズを作らせていただいたのでした。最初の花を入れた豆々サイズの籠と見比べてください、同じ籠でもこんなに違った大きさになります。さすがにこれだけの籠だとインテリアとしてご愛用いただく場合にも広い空間が必要かも知れません。やはり豆々から花のある暮らしがオススメです。


そうそう、今朝は花籠に花を活けてくださったお花屋さんに竹籠と花の関係についてお話を伺ったYouTube動画を上げさせてもらいましたので宜しければご覧ください。




虎竹ネジリコンビニ籠バッグ

 
虎竹ネジリコンビニ籠バッグ


この虎竹籠はコンビニ籠バッグなどと名前を付けてられていますが元々は花籠として編まれていたものです。竹虎では花のある暮らしを見直して頂きたいと思って今年の初めから少しづつ準備をして亀甲竹の一輪差しを含めると60種類を超える竹花籠をウェブサイトでご紹介してきました。


虎竹ネジリ編み


そんな中の籠のひとつにネジリ編みしたユニークでサイズ感のある虎竹花籠があったのです。しっかりした力竹が入っていて、持ち手の巻き方が名人と呼び名の高い職人が編んだだけあって美しく仕上がっています。


虎竹手提げ籠バッグ


虎竹ネジリ籠持ち手


籠内側


そこで花籠としては大きくてお使い頂くシーンが限定されるものの、手提げ籠としてなら皆様にご愛用いただけるのではないか?と考えたのです。ただし、籠の内側には竹ヒゴが差し込まれたままになっていますので注意が必要です。


虎竹手提げ籠


それなら内布でもすれば良いように思われますけれど、それもこうしてネジリ編みの透ける姿をながめていますと、そのままにしておきたい気持ちです。


虎竹ネジリコンビニ籠


今では編まれる事もなくなった数個しか残っていない限定の竹籠です。このままで可愛がっていただける方にだけお届けできればと思います。


木六竹八と竹細工

 
竹ざる職人


先日、匠の横網竹ざるがどうやって編まれているのか?この30年ブログでも取り上げてみましたが梅雨時に大型の竹ざるを使われる方が多い事もあって40センチから65センチまでの主だった竹ざるは、お陰様で皆様に好評のようです。




現在、店頭にあるのは網代底平ざる50センチと40センチです。この職人の素早い手さばきは音を聞いているだけでも、竹ヒゴたちが元気に暴れている様子を思い出してちょっとやる気になってくる動画です(笑)。


孟宗竹


ま、それはさておき。お客様には竹ざるが完売しているので次回は何時編み上がるのですか?と聞かれる事があります。皆様からしたら竹は竹林に行けば青々としていくらでもありますので、無くなった竹細工があれば伐採して製作すればいいとお思いになられているのかも知れません。


虎竹伐採、竹虎四代目(山岸義浩)


ところが昔から「木六竹八」という言葉があって、木は6月、竹は8月が伐採に適しているのです。ここで指す8月は旧暦なので現代なら8月下旬から10月上旬頃でしょうか。ちょうど孟宗竹ならこの時期が伐り時ですし、淡竹の仲間である日本唯一の虎竹はもう少し遅くとも良い。真竹は更に少しズレて伐採する職人がいます。


エビラ竹素材


日本は南北に長くそれぞれに気候も違っていますので地域により微妙に異なるものの、一年の中でも短い一定の期間しか伐採には適さないのは同じです。だから急にある竹籠や竹ざるが無くなっても旬の良い時に竹を伐ってなければ作ることはできません。自分に言わせれば、いつでもホイホイと竹が出てくる方が不思議です、土用干しに人気となっていますエビラ等は随分前から準備しています。冬の乾燥している時期に下地編みをして大きな倉庫で湿気を避けて保管しているから長雨の今でも製作する事ができているのです。




虎竹花籠、木魚

虎竹花籠木魚


木魚とは仏前での読経時に叩いて鳴らす丸みのある木製の道具ですが、この形に似ているところから名付けられたのが虎竹花籠 木魚です。花籠が沢山の方にお求めいただけていた当時には、かなり人気でサイズも数種類ありましたけれど更に自分の好みのサイズが欲しいという事で何度か別サイズを作らせていただいた覚えもある籠です。


虎竹花籠木魚


持ち手の付いた竹籠バッグのような形でもあり、その持ち手の両サイドから花をのぞかせる事ができて花心をくすぐられます。


竹虎四代目(山岸義浩)、虎竹花籠木魚


虎竹花籠木魚


花籠はそのまま置いても絵になるもの、しかし花が活けられれば正に水を得た魚のようにイキイキと輝きが戻ってくるのです。木魚の中では一番小さなサイズだった籠が何だか大きく見えています。




パリで青竹酒器の乾杯がしたい

 
パリ竹細工展示会


パリでは遂にマスク解除になったという事を聞きました。昨年の1月にスタートしたものの、程なくコロナウィルスの影響を受けて開催したり、閉まったりを繰り返してきたフランス国内巡回展「日本の日常生活の中の竹」ですが、少し明るい兆しが見えてきたように思いました。


パリ竹籠展ポスター


会場は1, rue Dante, 75005 Paris(tel : 01 44 41 50 10)です。実は昨日もヨーロッパ在住の方から日本の竹についてお問合せを頂いていましたけれど、パリ近郊にお住いの方でしたら是非一度電話で確認の上、展示会の竹籠たちもご覧いただけると嬉しいです。


パリ竹籠展


パリ展示用竹籠、竹ざる


竹展示会には昔から日本の暮らしで使われきた道具としての竹籠を、数百点の中から38点にしぼっています。日頃沢山の竹細工に囲まれて生活していても選択するという事はあまりなかったので今回の展示のために時間をかけて竹籠と向き合ったことは新鮮な経験でした。


パリ竹細工展示会メゴ笹籠


パリ展示会ポスター


会場には横浜まで1000キロランを走った竹トラッカーや、スペインのレースで特別感謝賞を頂いたREIWA-125号のパネルなども作っていただいてます。


パリ竹籠展


パリ竹工芸展


青竹酒器、日本酒


オープニング時の会場地下冷蔵庫には日本酒と自分が持ち込んだ青竹酒器が入れられていました。


パリ展示会、竹虎四代目(山岸義浩)


青竹酒器、竹虎四代目(山岸義浩)


日本でも蒸し暑くうっとおしい雨空を吹き飛ばす青竹酒器が人気です、酒器もお酒もキリリッと冷やして呑めば竹の清々しい香りが口に広がります。会場で再び青竹で乾杯できる日を待ち望むばかりです。




ゆっくりと編み上がる匠の横編み竹ざる

 
竹ざる製作


明るい日差しの差し込む匠の仕事場は、いつ来ても気持ちのよいものです。山の中にあるので色々な小鳥たちのさえずりを音楽のように楽しみながら仕事ができるのも嬉しいところ、掃除が行き届いて沢山の竹を扱っているのに削りカスひとつ落ちていない工房で美しい横編み竹ざるが編まれています。


竹ざる製造


この竹ざるは本当に美しい、はじめて見た時には驚いて二度見したほどです。ところが作り手からすると別に見た目はどうでもよく、あくまで使う人がどうか?という事しか考えていません。しっかりした幅広の骨竹は孟宗竹、細く取った竹ヒゴは淡竹を使うなど竹の種類まで変えながら編み込む技も全てはお客様に向いています。


竹細工作り方


竹ざる編み方


竹ざる職人


そうして何年も長い時間をかけて磨かれた竹ざるだから自然と見た目も綺麗になっています。




夏だキャンプだ竹酢液だ!?

 
土窯作り安心の竹酢液


竹酢液(ちくさくえき)は竹炭を焼く時にモウモウと窯から出てくる煙を冷やして採取した液体で、知られているだけで約300種類以上の有効成分が含まれています。主な用途には入浴剤として使う方法があり、お年寄りの乾燥肌からアトピーなどスキンケアに気を使う敏感肌の方、冷え性などにも沢山、安心の竹酢液のご感想をいただいています。


竹炭窯の煙


竹炭窯で見ていると物凄い勢いで煙が噴き上げてきます。しかし煙の温度が80℃より低いと成分がほとんど含まれておらず、逆に150℃を越えるとベンゾピレンやクレゾールなどの有害物質が含まれる恐れがあるため竹虎の竹酢液は、排煙口の温度で80~150℃の温度帯でしか採取していないのです。


竹酢液安置タンク


採取した竹酢液はタンクを3回も交換しながら1年間安置し不要なタール分を分離除去させています。こうした安心の製法を守っているため今回のような蚊除け対策で薄めた竹酢液を肌に直接スプレーしても大丈夫なのです。


竹酢液をボトルに移す


国産竹材、昔ながらの土窯作り、熟練竹炭職人、安心の製法を守り製造された竹酢液です。ちなみに木材を焼いた木酢液というものがあって違いを聞かれる事もありますが、竹酢液は孟宗竹のみを原料としているため成分やPHが安定している事が特徴です。そして木酢液に比べ蟻酸が多く殺菌力が高い、不要なタール分の含有量が少ないといったことも言われます。ただし、成分・品質についてはそれぞれの炭焼き窯の種類、温度、製造方法により大きく違いが出ます。


竹酢液大実験、竹虎四代目(山岸義浩)


さて、この竹酢液をこれからのアウトドアシーズンに向けて蚊除け、害虫の虫さされ対策に使っていただくため竹虎四代目自ら人体実験を敢行したことがあります。片腕には竹酢液をスプレーし、片方の腕にも何もせず竹林で蚊にさされるのを待つというのです!


竹酢液の蚊除け効果


ところが虎竹の里の竹林で大実験を行ったものの、手入れの行き届いた虎竹の竹林では蚊が少なくて実験にならず、わざわざ蚊のいそうな竹林に移動して改めて行った「続・蚊除けは本当か!?竹酢液の防虫効果を竹虎四代目が自ら大実験!」。竹酢液の蚊除け効果を、あなたの目でご確認ください(笑)。




アフターコロナへの竹製品

 
虎竹照明


ご存知のように昨年からのコロナ禍で人の動きが鈍って経済活動が激変し、飲食のお店や旅行、イベント関係など多くが大打撃を受けました。自分の知る竹製造業関連でも観光、ホテル、レストランさん等が主なお客様であった場合には、注文がストップしたため今までにない製品開発が急務となるケースがありました。


虎竹照明製作


実は怪我の功名のような形で、たまたま新商材が生まれたケースもありますが、それは本当にラッキーな一握りの事であり、やはり一日も早く日常の社会活動ができる世界になる事を祈るしかありません。


虎竹ライト


そんな中、真っ暗な暗闇に一筋の光明が差すようなお問い合わせがボツボツと入ってくるようになりました。緊急事態宣言に苦しんでいた飲食店様からの別誂えの竹製品や、宿泊のお客様が全くいなくなっていた宿泊施設の竹照明や備品、リアルのイベントで使う記念品などです。


虎竹スクエアバスケット


虎竹の里のような田舎にいるのでメディアの言ういわゆる「人流」やコロナウィルスの事はニュースで知るより他ありませんが、オリンピックも開催されるし、どうやら少しづつアフターコロナに向けて進みだしているような気がして嬉しく思っています。


国産にこだわる黒編み竹炭籠

黒編み竹炭籠


この黒編み竹炭籠を製作するようになってから何年になるだろうか?名前の通り消臭用、除湿用の竹炭をお部屋のインテリアの雰囲気を壊すことなく格好良く置いてもらいたいという思いで生まれた籠たちだ。ちょうど季節は今頃、梅雨で締め切ったご自宅のニオイや湿気対策に役立つ竹炭(バラ)を2キロ入れられる角籠や丸籠から作りはじめた。


消臭、除湿用竹炭


日本唯一の虎竹を100年守り続けている自分たちは、このような籠一つにしても当然国産にこだわっている。竹炭を入れる籠だから黒染で思うようなサイズのものを日本国内で作ろうと思うと実はかなり困難だ。虎竹を通して日本中の竹ネットワークの中心にいる竹虎だから、このような熟練職人にずっと編み続けていただけているといつも感謝する。


竹炭籠、竹虎四代目(山岸義浩)


それにしても振り返ってみたら、もう15年近くになるのではないか。製作の容易ではない黒染竹籠は、竹ヒゴの前に一度染めて、籠に編み上げてから更にもう一度染められている。


竹炭籠製造


こうする事によって編み目が微妙にズレた場合にも下地の色が見える事はないのだ。蓋付きなど四種類にバリエーションを少しだけ増やして定番商品として、本物の国産竹籠で皆様にご提供できているのは、もしかしたら奇跡的かも知れない。




未知の新製品、定番の虎竹蛇籠

 
虎竹花籠、竹虎四代目(山岸義浩)


竹花籠を見直してもらいたいと思っている。自分の母親世代では花嫁修業としてお茶やお花を習った方が多くて、当時は竹花籠は驚くほど編まれていた。しかし、今では誰にも見向きもされないし竹職人で花籠を作って生活している人に会ったこともない。ただ、竹花籠に魅力がないかと言えば決してそんな事はなく、世の中や住宅事情の変化にあわせた活かした方はあるのではないかと思っている。


虎竹花器


虎竹蛇籠という昔からある定番の花籠を若い女性社員に見せると使い方を知らない。竹籠は見慣れているはずなのに、はじめて見る蛇篭の足は一体何のためのものか困惑している。


竹製塗りおとし


随分前になるがアメリカの竹作家に連れられてニューヨーク近代美術館 (MOMA)に行った事がある。そこで竹籠の奇妙な使い方を見て違和感を持ったが、もしかしたら花籠を知らない世代はこの時の海外から日本の竹を見る感覚に近いのではないだろうか。


虎竹蛇籠


それなら実は見向きされていないのではなくて存在を知らないだけではないか?なるほど、若い世代にしたら竹花籠は今まで見た事も触った事もない未知の新製品なのだ。


虎竹花籠蛇篭


華道のように決められた花材でルール通りの花を活けるのも美しいけれど、名前も知らない花を自由に活けて気楽に楽しめる竹花籠の生活を知れば、出番をずっと我慢強く待っている竹たちに光を当てることが出来ると思っている。


暮らしに役立つ篠竹ラウンドバスケット

 
篠竹ラウンドバスケット


竹はやはり自然素材そのままで編むものが魅力的だ。熱を入れて表皮を飾ることもなく、磨きで汚れを落とすこともない山からそのまま伐り出した竹本来の姿で勝負する潔さが格好がいい。この篠竹ラウンドバスケットの無骨さもどうだろうか、あまり多くを語らないけれど中身は本物という皆様の周りにも一人くらいはいるであろう憬れるあの人のような籠。


篠竹ラウンドバスケット、竹虎四代目(山岸義浩)


篠竹とスズ竹を混同されている方がおられるが竹質は全く違う、雪国の根曲竹とも違う。篠竹細工も竹ヒゴの取り方によって実は色々な籠やザルになるが、どれも控えめで自己主張していない。そして、それは自分を曲げることもない職人さんの姿に重なっているようだ。




竹炭歯磨きでホワイトニング

 
竹炭ハミガキ


最近何かと注目される事の多い竹炭パウダーですが、この竹炭微粉末を使って黄ばんだ歯を白くホワイトニングするYouTube動画なども人気のようです。何を隠そう自分も昨年からのコロナウィルスで毎日イソジンでうがいをしていました、そしたら気づかない内にビックリするくらい前歯が茶色くなっているのです!同じように竹炭パウダーを使うのか!?いえいえ、YouTubeで紹介されているホワイトニングの方法は普通の歯磨き粉に竹炭パウダーを付けて磨くやり方ですけれど、もともと竹炭パウダーが入った竹炭歯磨きがあります。手間いらずの竹炭歯磨きには土佐黒潮天日塩を配合した塩歯磨きで、実は40数年来の思い出がある製品でもあります。


自分は中学・高校と全寮制の明徳義塾に在学していて中学の3年間は野球部でした。当時はまだ学校が創立したばかり、高校は校舎すら出来てなくて現在のように甲子園の常連にあげられる強豪チームではありません。けれど厳しさは同じでした、夏休みも実家に帰省すること出来ず野球部員は一つの寮に集まり練習の日々だったのです。そんな時に、どういうわけか母が差し入れしてくれた荷物の中にナスの黒焼きハミガキがありました。ところが、この歯磨きには自然塩が使われていて甘い味しか知らない子供だった自分達には大不評!黒くて珍しいからと皆が次々に使ってはみるものの野球部員全員からブーイングが起こったことを覚えています(笑)。


竹炭パウダー


しかし、竹炭パウダーを活かした歯磨き粉製作を考えていた時に、たまたまそのナスの黒焼き歯磨きを製造していた不動化学さんに出会うのだから不思議なものです。確か印象的なパッケージも数十年来変わっていないのではないかと思います、見た瞬間に明徳時代を思い出しましたので(笑)。中学の頃に仲間の部員が嫌がった塩味も使いだすとクセになり、歯茎を引き締める効果もあっていいのです。




塩月寿籃氏の虎竹

 
塩月寿籃作


塩月寿籃作 虎竹花器 睦月さんという竹の達人が遺した作品が竹虎にはあります。本店のガラスケースに大切に陳列されているものもあれば、実は自宅に普通に飾っていたり使っている物まであるので正確に何点あるのか数えてみないと分かりません。


塩月寿籃氏


この方は銘に製作年を入れられているので、この作品は1985年のものです。


塩月寿籃氏、竹虎四代目(山岸義浩)


渡辺竹清氏


まだ作品が売れない頃の塩月寿籃さんが、親しかった渡辺竹清先生の工房に遊びに来られた時に虎竹に出会ったといいます。当時、渡辺先生の所には祖父が厳選した最高の虎竹が揃っていました、そしてそこから素材を譲られて創作された寿籃さんの作品には当然ながら美しい虎竹が使われています。


塩月寿籃氏


塩月寿籃氏


虎竹の色づきは近年の温暖化の影響もあって変化しています、30数年前のいやもっと言えば初代宇三郎が出会った100年前の虎竹はどうだったのか?二代目義治が吟味した竹をみれば、そんな答えも微かに見えてきはしないか?僕にとって編またれ技や形もさることながら使われている竹ヒゴに自然と注目してしまっています。


中高年の夜のトイレに、竹炭ベットパット×竹炭枕

 
竹炭マット


今朝お客様から弾んだお声で一本のお電話を頂きました。先日当社から竹炭粒がタップリ3キロも入った竹炭枕をご購入いただいたお客様からでした。前立腺を悪くされていて夜中にトイレのため3回も4回も起きてしまうのが当たり前だったのが竹炭枕を使いはじめて1週間、すっかり夜中に起きる回数が減り朝のめざめもスッキリして何と主治医の先生と頻尿のクスリを減らす相談をされているとの事だったのです。


竹炭マット


実は何を隠そう自分も夜間頻尿でクスリにお世話になったことがあるので、この悩みが軽減され嬉しくなって早朝に竹虎までお電話いただいたお客様の気持ちは良く分かります(笑)。ハッと目覚めれば朝の光というが当然と思っていたのに、夜中にどうしても一度はトイレに起きてしまう...これは本当に面倒でした。


症状が軽かったせいか自分の場合はクスリを何度か飲むと治まりましたが、また再発することがあるかも知れません。そう考えていて思い出したのが竹炭ベッドパッドをお使いの「おじさん6号様」から頂戴しているお声です。


「畳の部屋で普通の綿の敷布団の上にこのパッドを敷いて寝ています。このパッドに変えてから、背中(特に腰のあたり)が冷えなくなり、夜中に目がさめる回数が減りました。」


竹炭マット、竹炭枕


そしてその後に、こう続いています。


「枕も竹炭まくらと以前使っていたまくらの両方試してみましたが、私の場合は竹炭まくらの方が合っているようです。腰の冷えが防げるとは思っていなかったので、値段は高かったですが買って本当に良かったです。 ( おじさん6号 様 )」


本日お電話いただいたお客様のご感想もありますし、竹炭ベットパット(マット)×竹炭枕は夜のトイレにお悩みの方には一つの光かも知れません。ウェブサイトに掲載していますように竹炭マット開発には燃焼温度の違う竹炭からこだわる等、試行錯誤があり時間も費用もかかりました。しかし、ここに来て中高年の方々のお役に立てているのなら、あの時の判断が報われたように思います。




白石白雲斎氏の竹細工

 
虎竹花籠、白石白雲斎、竹虎四代目(山岸義浩)


今の日本の暮らしの中ですっかり姿を消してしまった竹花籠をもう一度思い起こしてもらいたいと、30年前には人気だった籠達を手にするようになりました。花籠が本当に身近で、日々の飾らない生活の道具として根付いていた頃にはサイズもお値段も手ごろなものが次々と編まれていました。そして、そんな沢山の職人が関わり製作される籠に対して、一人の作家の方が卓越した技術で編み上げる高価な作品も生まれていたのです。


白石白雲斎作虎竹花籠


故・白石白雲斎氏の虎竹花籠もそんな作品のひとつ。編まれてから数十年経った今でも竹が生きていると感じるのはヒゴ取りの確かな腕前があればこそ、堅牢な編み込みも健在でさすがだと感心してしまいます。花を活ける機会に使ってみる事にしました。


白石白雲斎作白竹花籠


祖父と親交のあった作家さんですから日本唯一の虎竹を使った花籠が多いのですが、こちらの白竹で編まれた花籠も白石白雲斎氏と一目で分かります。


白石白雲斎作花籠、竹虎四代目(山岸義浩)


普通に見えてこれだけ品のよい籠はそうそうありません。この方の偉大さが少しづつ分かってきました。


雑誌「D-Letter」に掲載いただきました。

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大和ライフネクストさんの発行されている「D-Letter」という雑誌に取り上げて頂きました。大和ハウスグループの中にあるマンション事業を担当されていますので、特に今のコロナ渦にあって自宅室内で仕事を快適にするためのインテリアなどがお洒落に紹介されています。


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当社などはどうしても現場にこないと出来ない仕事ばかりですけれど、都会では在宅ワークが増えていると聞きます。そして今後もそれが続くとの見方が大半なため、リノベーションを検討される方も多いようです。ペラペラとページをめくって拝見していると仕事の在り様は急速に変化しているのを感じます。


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こんな時代だからこそ竹の出番があるように思いますが、昨年新しく作ったスクエアバスケットのシリーズの中でひとつ小さな長角の小物入れをこちらの雑誌で読者プレゼントに使っていただいています。キッチンでもデスク周りでもご愛用いただけます、どんな風に製作されているのかは下記のYouTube動画をご覧ください(笑)。最近は30年ブログの最後にこうして動画を紹介することが本当に多くなりました。




海と竹とプラスチック

女竹


を伐採する職人が減って良質の竹材が少なくなりつつありますが、それでも盛んに竹を伐って流通させているのが漁業用の竹材です。大型トラックに太い孟宗竹を積み込んでいる様子を何度か拝見したことがあって、どこに行くのかと言うと広島や遠くは東北の方まで運ばれて牡蠣の養殖筏に使われるとの事でした。

 
メンチクの葉


そんな話を思い出したのは沢山の女竹の葉を訪れた竹屋さんで見かけたからです。このだけの量の葉を落とすとは、かなりの本数の女竹だと思って聞くと、何と有明海で赤貝養殖に使われているそうなのです。


女竹


女竹のウラ(先端)の方は枝分かれしていて海中を浮遊する赤貝の幼生を付着させるのに良いのです。先の牡蠣筏にしろ、赤貝にしろ広い海で使うので大量の竹材が必要で、現在でもそれだけの伐採を続ける伐り子はいるようで心強いと感じました。考えれば海も穏やかな日ばかりではありません、漁場で使っていた竹が流される事もあるではないかと思います。しかし、竹ならどこに流れついても腐って無くなりますので最近よく耳にする海洋プラスチックのような心配もありません。自然の中では自然素材ほどよいものはないのです。


虎竹掛け花籠たち

 
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虎竹掛け花籠 ちまき


竹の花籠などあまりご存じない方が多いと思いますので一応ご説明しておきますが、竹花籠には普通の花瓶のように置いて楽しむものの他に掛け花籠と言って壁や柱に引っ掛けて花を活けられるものがあります。この虎竹掛け花籠 ちまきのように高さを利用して、つる植物など入れると目を引きます。


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虎竹掛け花籠 ちまき


ちまきの名前の由来は形をご覧いただきますとお分かりだと思いますけれど、籠編みの中ほどに竹ヒゴに負担がかかり過ぎて折れることを防ぐ「ゆるみ巻」という技法が使われた口部分があります。そこに花を活けられるようになったユニークな形がとても人気だった花籠です。


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虎竹掛け花籠 ひさご


ひさごとは瓢箪のこと、縁起もよく昔から日本の生活道具には沢山取り入れられてきたデザインのひとつです。花活けには華道で習うような決め事はありません、それよりも自分が心安らいだり、人を喜ばせることが大事です。もしかしたら竹花籠という事で身構える事がありますでしょうか?


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虎竹掛け花籠 ひさご


実はそんなものは一切必要なく、空き瓶に花を入れるのと同じで自由です。


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虎竹掛け花籠 小豆


そして、花を活けずとも竹籠だけで美しいことも知ってもらえると嬉しいです。手にして改めてつくづく竹花籠の良さを感じています。




伝統の土佐網代丸手提げ籠

 
土佐網代丸手提げ籠


伝統とは不思議なものだと思います。ずっと長く続いて来たものなのに一旦途切れてしまうと、ほんの数十年で誰も知る人がいなくなってしまいます。「土佐網代」と呼ばれる竹細工もそのひとつ、今ではその小さな欠片さえも全く見ることができないので信じられないほどなのですが、この40数年前に東京のデパートで開催された高知物産展のポスターを見ると間違いなくその籠があるのです。


土佐網代、土佐伝統の竹籠ポスター


今でも地元で編まれている竹ザルや四ツ目籠、残念ながら無くなった盛籠など色々ある中で右上に三個集めて写されている右端の籠は土佐網代で編まれたものです。


土佐網代丸手提げ籠


その伝統を細々と引継ぎ、生まれた持ち手付丸手提げ籠です。


新しい白竹やたらざる

白竹やたらざる


これからは暑い夏に向かって竹ざるの季節です。日頃あまり竹に馴染みのない方でも、ざる蕎麦などで涼を味わう機会は多いと思います。笊には青竹や白竹など色合いの明るい竹材が好まれますが、今回白竹でちょっと変わった笊が編まれてきました。ヤタラ編みとは「やたらめったら」という言葉から来ているように、キッチリとした編み方ではなく職人の感性で自由に編み込まれています。

 
白竹やたらざる


竹ザル


底の足部分に使われているのは籐です。籐にあまり注目されてる事はありませんけれど、これほど違和感なく竹細工に多用され、しなやかで使いやすい秀逸な素材はありません。この足部分も籐があってこそ編むことのできる細工です。


渦潮という名前の虎竹花籠

虎竹花籠 渦潮

竹花籠を手に使い方が分からず右往左往している最近の若い方を見ていると、暮らしの中に竹と花という文化がすっかり無くなって久しい事を改めて感じてしまいます。けれど、反対にだからこそこれからの皆様にとって竹製の花籠は全く新しい未知の製品であり、良さをお伝えするべきだと思うのです。


虎竹花籠 渦潮


この虎竹花籠渦潮なども虎竹のしなやかさを活かして荒々しい波の様子を表現しています。渦潮と聞けば鳴門を思い浮かべますが、実は虎竹の里の海岸線を通る旧道を行けば磯釣りでは有名な岩場があり小さな渦や波しぶきはいつでも見られます。


虎竹花籠 渦潮


虎竹花籠 渦潮


それにしても花がなくとも独特の美しい虎模様の籠です。存在感のあるこの竹籠をお求めになられる方の中には、そのままインテリアの一部として飾られる方もおられるかも知れません。


虎竹


忘れられた竹籠と虎竹が育つ不思議な竹林、代々続いてきた竹の仕事にも光を当てたいのです。




青竹茶碗籠について

 
青竹茶碗籠


新しく仲間入りした青竹茶碗籠は、何の変哲もない当たり前の作りながら清々しい色合いとシンプルさが好評です。使い勝手のよい大きさ感も良いですし2.5キロの食器を入れてもビクともしない力強さもあります。


青竹茶椀かご

碗籠、竹虎四代目(山岸義浩)


青竹茶碗かごg


食器籠


碗籠、竹虎四代目(山岸義浩)


今日も一日、一般の方からしたら信じられないような竹籠に囲まれて至福の時を過ごしていました。それこそ数十年前の物語のある竹から、まさに今編み上がり産声を上げたばかりの竹まで頭のてっぺんまで竹細工に埋もれ首に巻いたタオルも真っ黒です(笑)。そして改めて手にした茶碗籠、残りは少なくなっていますけれど今年は竹を余分に伐っているので、また夏頃にはご紹介できそうです。




一生使える竹籠を編む職人

竹細工職人


一生使える竹籠などと言いますと少し大袈裟に聞こえるかも知れませんが本当です。ずっと農家さんの仕事場で使われてきて鍛え上げられています。畑で使う人から直接声を聞いて少しでも良いものを編もうと続けているうちに完成した籠なので「苺籠」と可愛い名前とは裏腹に物凄い丈夫さと強さを秘めた竹籠なのです。


苺籠


見た目は何処にでもありそうな普通の手付き籠です、ところが実際には何処にもありません。


手付き籠を編む


竹籠を編む職人


昔ながらの職人の多くがそうであるように自分で竹林に入り、気に入った竹を伐採しその竹だけを使って仕事をします。真竹もあれば淡竹も伐るし孟宗竹さえ使いこなします。


竹手付き籠


手に持った瞬間に感じる重さはしっかり編まれた証です。苺籠より数段サイズの大きい手付き籠も編まれてきました。梅雨の晴れ間に竹の青さは良いものです。