昨日ご紹介した五三竹(布袋竹)で作られるのが実はコレ!阿波踊り竹人形なのです。阿波踊りは「踊る阿呆(あほう)に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損々」と唄われる400年の歴史を誇る日本を代表するお祭りのひとつ、そのお祭りで楽しく踊ってるようにしか見えない小さな人形は竹の節や小枝などを実に巧みに使って製作されているのです。歴史は古く昭和11年(1936年)頃までにさかのぼり遠州見付(みつけ)の裸祭り人形を参考に考案されたと言われています。
そして、戦後になり徳島の阿波踊りが復興していく中で昭和23年頃、当時徳島大学の美術講師をされていた藤田義治氏が現在の竹人形の技を確立されたのです。飾り物だけあって均一感のある乳白色にするため、苛性ソーダで湯抜きしたあと過酸化水素水に数回浸して天日干しを繰り返しています。
それにしても目を見張るのは、その細かい部材の多さ、胴、手足、頭、太鼓はじめ小道具など部分ごとに作って管理されています。
線香の火を使って曲げるやり方と電気コテで熱を入れる方法がありますが、上手く曲げる事によって何でもないような小枝が躍動感のある腕や足に変わっていきます。
阿波踊りは女性のかぶる編み笠が印象的です。細い竹材を斜めにカットして表現するのも出来あがったものを見れば普通に思いますけれど、これを無から生み出すのは天才といか思えません。
更に男踊り人形の胴体が凄い、竹の節をサッと削れば浴衣の後ろに角帯を締めているかのようです。
こうしたパーツを組上げて竹人形が完成する頃には、一体一体の人形に表情まで見えてきて、最後には息づかいまで聞こえそうなので驚くほかありません。
白かった竹人形も時の経過と共に色合いが飴色に変わっていきます。昔の人形と現在のものでは女踊りの編み笠の角度が違います、本当に少しの事でも現代の人形の方が勢いがありスピード感があるのです。
また最近では阿波踊りだけでなく題材がお遍路やんや野球、ゴルフといったスポーツ竹人形にも発展しつつあります。これらの人形にも動きがあり話声までも聞こえてきそうなのが阿波踊り人形の神髄です。
こうして見ていると三味線や笛など鳴り物の賑やかな音にあわせて踊り子が自分に向かってきているようです。袖のあるなしで流派が分かれると言うものの、どちらもいい...細かい部分を見ていると命を吹き込まれた竹達に時を忘れてしまいます。
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