竹の記憶

 
遠くに見える竹林


高知は山深い、曲がりくねった道路から谷間を挟んだ向こうにが見えた。「竹の秋」の季節だがそれとは違う、山の中腹あたり緑に囲まれて開花しているのか何なのか、立ち枯れしたように色が変わっているので良く目立つ。あれはきっと誰かが植えた竹、かってはあの場所にも人の暮らしがあったに違いない。


里山の竹


多くの人は田舎に行けば竹は何処でも見られるし、時には邪魔者扱いにすらされる程なので日本の竹林は広大だと思っているかも知れない。ところが、竹は思うほど沢山あるわけでなく全国の森林面積に占める竹の割合は、わずか0.6%しかない。数千年に渡って衣食住すべてに関わり役立ってきたので人の近くに植えられているから目立つだけなのだ。川沿い延びる竹林も護岸のために人工的に整備されてきた。


だから里山から離れて人家が遠退くほどに竹は少なくなる。竹の花は60年、120年に一度咲くだけなので自ら繁殖するチャンスは多くない、こんな県境にポツリと生える竹は誰かが必要として植えた、そして山から人々の暮らしが無くなった後も、昔の記憶をとどめるかのように茂っているのだ。


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