竹花籠、誰か食べているのか?

 
竹花籠、竹虎四代目(山岸義浩)


実は昨年から竹花籠を使いたいとずっと思っていました。以前は花を活ける機会はもっと多く、竹製だけでなく陶器やガラス製の花器もいくつか持っているのですが倉庫に仕舞ったままになっています。自分が花を活けるなど意外かも知れませんが、草花の多い自然の中にいて竹花籠があれば一輪の花を飾るのは自然な事です。先生について習ってもいましたけど花活はそう身構える事はありません、そこにある花を、そこにいる人に楽しんでもらえたらそれで良いので自分流で十分なのです。そう言えば正月には創作の新春飾りも作っていました、あの心のゆとりは何処にいったのでしょうか(笑)。


虎竹花籠


まあ、それはさておき少しづつ花を愛でたい気持ちになってきたのは、やはりコロナの閉塞感でした。花の種類が多くなる春を待って自分で花材を集めて活けようと思っているうちに時間ばかり過ぎてしまうので、とうとう花屋さんにお願いすることにしました。


虎竹花籠


お茶やお花が花嫁修業と言われ、結婚前に料理や家事と同じように一つのたしなみとされていた頃には竹製の茶道具や花籠は非常に需要が高く、まさに飛ぶように売れていた時代があります。竹細工職人の中には、あまりの注文の多さに「この花籠を誰か食べているのか?」と冗談が出るほどだったのです。しかし、それも20数年前くらいまででしょうか?今では生活様式も皆様の意識も変わり花籠を日常的に飾る習慣などありません。あれほど人気があって、説明などしなくとも次から次へとご要望のあったのに、お求め頂くお客様も年々右肩下がりとなっています。


虎竹花籠


そんな中、リモートワークも増えて自宅にいる時間が多くなった機会に、日本の伝統的な竹花籠に一輪の花を飾り生活にうるおいを感じていただきたいと思うようになりました。編まれる事も少なくなりつつある竹製花籠に、もう一度スポットライトを当て新しく登場する新製品と共にご紹介できればと考えています。




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