寒さの苦手な自分は、春がきて初夏に向かう季節は大歓迎ですが暖かくなるとあまり喜ばしくない事がひとつあります。それが竹の虫、今まで何という事のなかった竹籠に粉をふいたような小さな穴があれば要注意!すぐに熱湯処理をしていただきたいと思います。
チビタケナガシンクイムシという竹を喰う害虫の仕業なのです。小さな虫だからと侮ってはいけません、放っておくと竹ヒゴがボロボロになるくらいに穴を開けてしまう事もあるのです。
久しぶりに籠を動かした後に細かい粉が落ちていて気付く事もあるくらい小さな穴なので見逃してしまう事も多いのです。
青竹細工のように山から伐採されてきた竹材をそのまま使わない場合には、竹材は油抜き加工をしますが、この加工すると切り口から触れないほどの熱い油分が噴出します。だから、もし原竹の状態で虫が入っていたとしてもこの時点では完全に退治できているはずです。
ところが、ガスバーナーを使った火抜きをした後でも、熱湯を使う湯抜きで油抜き加工をした場合でも虫が喰う事があるのです。これは防虫効果の高い高温と圧力の炭化窯で処理した炭化竹でも同じです。
シャキシャキの大根おろしが出来ると人気の竹製鬼おろしは炭化竹を使っい防虫、防カビ効果を高めています。炭化加工をすると若干竹の強さが劣るので歯の部分は竹材そのままなので、画像の虫穴はピンポイントで歯の部分だけ喰われていますけれど、炭化竹の箇所であっても食害に合う事を何千、何万個という竹を扱う中で見てきました。つまり、100パーセント防ぐような事はできません。
伐竹現場での高齢化と共に竹林の荒廃が進み良質の竹材の確保が年々難しくなってきています。気候変動もあって虎竹の里のように昔ながらの伐採時期をしっかりと守り管理する虎竹でさえ大変な時代です、虫の入りやすい旬の良くない時期の竹材を使わざをえない製品も増えてくるかも知れません。
お気に入りの竹籠や竹細工は日頃から愛情を持って接し観察する事をユーザーの皆様にお願いしたいと思っています。毎日愛用しているような竹籠には虫が喰う事はほとんどありません、別に特別な事ではなく日本人と竹はそうやってずっと昔から付き合ってきたのです。
コメントする