竹と笹の違い

竹と笹の違い、黒竹、竹虎四代目(山岸義浩)


は木でもなく草とも違う、まさに「竹は竹」という他にない特性を持ち、身近で手に入りやすいため古より人々の暮らしに深く根差した自然素材でした。その竹の生育域を世界的にみると日本や中国が思い浮かびますが、東南アジアやオーストラリア、中南米、アフリカなどの温暖で湿潤な地域に広く分布していて何と世界に約1300種、日本には約600種があると言われているのです。


竹と笹の違いとは?雪と孟宗竹


もともと南方系の植物なので孟宗竹などは日本の北限が青森か函館あたりと言われていて、随分前になりますがデパートの売り出しに行った北海道では竹細工・竹製品は結構珍しがられた覚えがあります。竹は他の木と違って、受精しなくても地下茎から毎年筍が伸びてきて生育域を広げていきます。ところが、60年とも120年とも言われる間に一度、竹が花を咲かせるのです。竹の花が開花すると、群生している竹が一斉に枯れてしまいます、虎竹の里の古老に聞くと虎竹の林も一部で開花した時期があり、やはり一帯の竹がすべて枯れたそうです。


竹と笹の違い、孟宗竹の開花


では竹の花というのはどんなものでしょうか?実は竹はイネ科の植物です。なので竹の花もまるで稲穂のような姿をしています。日本の竹の品質が世界最高だと機会があればお話ししているのは、ササニシキやコシヒカリといった海外の食通もうなる美味しいブランド米ができる日本だからこそ、同じイネ科の竹の品質が良いのは自然なことだと考えているからです。


竹と笹の違い、竹皮


まあ、そんな竹ですが実は竹と笹があります(笑)。皆さん日ごろあまり疑問も持たずにおられますけれど、それでは竹と笹の違いはどこでしょうか?まず最初に答えを言ってしまいますと実は「明確な違いは分からない」が正解です。もちろん大まかな選別はされていて背丈の高いものが竹、低いものが笹。そして、両方とも筍から成長していきますが、その筍の皮が稈からすべてなくなるのが竹、皮が一生ずっと残ったままなのが笹という大まかな分類はあります。


メゴ笹、オカメ笹


しかし、背丈の低い竹もあって例えば洗濯籠の材料に多用される高知ではメゴ笹と呼ばれるものがあります。これは全長で1メートルから2メートル程度の小さいものですが竹類なのです。浅草の酉の市でオタフクの面をつける素材なので「オカメザザ」とも神楽に使うので「カグラザザ」という名前もあります、「ササ」と名前がついているのに竹類なのです。


反対に背丈の高い笹もあって、たとえば幕末に新選組の副長として活躍した土方歳三が「将来武士になったらこれで矢を作る」と決意をこめて生家の庭に植えたという話がある矢竹など高さは長いものだと5メートル程度になりますが笹類です。また、数寄屋建築に使われるという事で昔は竹虎でも結構取り扱っていたメンチク(メダケ)も稈の高さは4メートル程度になります、両方とも大きくて「ヤダケ」「メダケ」と竹のような名前がついているのに笹類なのです。


根曲竹


この根曲竹も竹とついているのに笹の仲間。野趣あふれる丈夫で秀逸な竹籠が編まれるので、竹でも笹でもどちらでも良いのではないか?そう言われればその通りなのです。




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