昔ながらのお茶農家さんには大きく美しい竹籠が残っていることが多いのですが、ここにある籠も見事です。年期を感じる赤茶けた竹肌、一体何十年働いてきたのか?人が日焼けするように磨きの竹細工も日当たりが良いとこのように強く濃く色合いが変化します。このような籠が沢山編まれて使われていた当時には籠でもザルでも他の農家さんの物と間違えないように大きく墨で名前や屋号が書かれていましたけれど、これも例外ではありません。
いい籠はシルエットも綺麗です。別に綺麗に見栄え良く編まれたものではないのに使い勝手や機能性を考えていったら、このような秀逸な竹細工になったのです。
働き者の竹籠は底が違います。それぞれの四隅中央に竹節を持ってきた力竹、二重、三重に竹で押さえて堅牢そのものの作りに竹職人の「これで、どうだ」という呟きが聞こえそうです。
縁巻は竹表皮を薄く剥いだ磨きの竹ヒゴで丁寧に巻かれていて、かなりの腕前なのが分かります。一番最初の画像の口巻を抑える縦の竹ヒゴは白っぽく色合いが対照的、これが表皮を剥いだ時と残した場合の色合いの違いです。それにしてもお茶農家といえば茶葉を干すための大きな竹ざるがあった沢渡の茶畑を思い出します。来月には新茶のシーズンなので、あれから早くも一年という事です。
コメントする