この虎竹の竹林は細い山道をずっと登った先にあります。息を切らせながら歩いて行くと、結構キツイ坂道の続く場所を山の職人は「そこの平らな所」と少し話がかみ合いません。可笑しな事を言うものだと思ったものですが、本当に急な場所と言うのは歩くというより這うくらいの急峻さなのです。なるほど...と山道の厳しさを感じたものですが、そんな山道を運搬機に満載した虎竹は運び出されてきます。
しかし不思議なものです、ここでしか虎模様の竹が育たないとは。だから100年前に大阪から虎竹の里にやって来た曽祖父以来、虎竹栽培を地域の人に説いて回り少しづつ竹林面積を増やしてきたのです。竹林の中に点々と石垣が残っているのは当時芋畑だった名残です、農作物の代わりに虎竹を植えていますから毎年野菜や果物を収穫するかのように竹を伐採するのは虎竹の里では当然の事でした。
虎竹の運搬機はキャタピラーが付いていてどんな坂道でも物ともせず進んでいく心強い相棒です。
伐採時期が決められている虎竹は1月末までに伐り倒されています。竹林からの山出しはそれ以降の仕事で、最近は少なくなったものの遅い年だと5月の連休明けまで続く事もあります。
雨が降ると山道は滑りやすくなりますので山出しの仕事はお休みです。ところが、明日4月18日(日)16時5分~17時20分に放送予定の「運搬千鳥 それ、どうやって運ぶんじゃ?」(東海テレビ・フジテレビ系全国ネット)の撮影は、ちょうど前日に雨が降って普通なら山仕事はしないような最悪のコンディションでした。山出しにチャレンジされたパンサー尾形さんは、さすがに根性あるなと感じましたが一体どんな風に紹介されるのでしょうか。
実際は、こんな風にずっと虎竹と対話をしているだけの仕事です。
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