自分の小さい頃には、まだ使われていた飯籠は持ち手がついて軒先に吊るせるようになっています。赤茶けた色合いが美しいので前からずっと手元に置いてある籠が一つあるのですが、現在竹虎でご紹介させて頂いているような小さな物ではなくて尺3といって約39センチくらいの大きさがあり炊いたご飯が一升くらいは入られるのではないでしょうか。家族の人数が少なくなるにつれて、このような大きさの竹籠は不要となり電化製品の進歩と共に籠は姿を消してしまったのです。
大きなサイズの飯籠は編まれる事もなくなりましたけれど、今回久しぶりに瑞々しさの香りたつような青竹を手にすると度々お話させていただく経年変色についてお伝えせずにはいられません(笑)。ご存じない方は、きっと赤っぽい竹と青い竹があって其々の色合いの特徴を活かして作られているのだろう...とか、色のバリエーションのために赤茶に染めているのだろう...と思われるかも知れません。
ところが、この赤茶色に輝く色合いは年期の入った証。数十年前は、この青い竹籠と同じ色合いだったのです。にわかに信じられないでしょうか?けれど、これが竹細工の魅力のひとつ、使うほどに色合いが変化し、風合いが増していき愛着が深まっていく竹の良さです。お一人様でお使いいただくような小さな飯籠も長い月日の内に段々とまるで成長するかのように変色してきます。
コメントする