メゴ笹細工は竹ヒゴを作ることなく伐採した素材を使ってすぐに編むことができ、出来あがった籠は丸竹のままでケバ立ちもなく脱衣籠などにもってこいの籠だったのです。それが一時は「幻」と言われるまでに見られなくなった理由は、メゴ笹の扱いの難しさにあります。
伐採して青みのあるうちは柔らかくしなやかに曲り編みやすいのですが、すぐに乾燥してしまい硬くなってしまい籠にできないのです。そこで仕事のできる分だけ伐採しては編み、伐採しては編みという事を職人は繰り返すのですがメゴ笹を伐る時期も決まっているため沢山作ることはできないのです。
それにしても細い稈がまるで髪の毛でも生えているかのようにビッシリと詰んで生えています。根曲竹の竹林も入るのにも歩くのにも苦労すると職人から聞きますけれど、メゴ笹の密集具合はその比ではありません。
かって戦国の世には日本国中に砦のような土塁で固めたお城がありました。そこにメゴ笹を植えていた話を古老の職人から聞いたことがあって、とても面白いと思いました。密に生えているメゴ笹の特性を上手に活かしているのです、いざ戦が近づくとなれば周りのメゴ笹を短くハス切りにするそうです。するとお城の周りは丈夫なハリ山となり何と防衛機能として役立つのです。衣食住すべてに関わって人に寄り添ってきた竹が更に意外な力を発揮していたという事です。
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