須崎の漁港には、子供たちなら何人も入るような大きな大きな竹編みの生簀籠が無造作に置かれてあった記憶がある。あの時には何とも思っていなかったけれど、あれだけの竹を扱うには竹の技はもちろんだがかなりの腕力も必要な竹細工だった。
生簀籠は、いつの間にやらなくなって今では中土佐町久礼の大正市場に飾られているものが見られるくらいだろうか。下から見上げても大迫力、こんな籠が浜にゴロゴロしていたので良い時代だったのかも知れない。竹籠や竹ざると言えば農家とか山間部で使われているイメージがある、しかし実はこうして海の仕事にも大きく関わり無くてはならない存在だったのだ。
この丸ざるも太く良質な真竹を伐り出してくる職人がいなくなると同時に編む職人も高齢化で小さな籠は大丈夫だが、このように力のいる大きな籠になると、なかなか思うように編めないのだ。それでも、こうして青々とした竹ざるが出来ている。これだけのサイズで、この堅牢さ、日本ではすでに見る事のできなくなった深ざる、一般の方はあまり見る機会もないが、昔からの仕事でどうしても必要な方々が待っている。
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