網代底水切りざる足付き30cm

 
網代底水切りざる足付き30cm


キッチンで活躍しそうな足付きの竹ざる、大きさも直径30センチと手頃です。しっかりした編み込みに細い足で心細く感じる方もおられますでしょうか?


竹ざる、竹虎四代目(山岸義浩)


けれど、全く大丈夫。竹細工も時代と共に変わっていくというのは常々申し上げている事ですが、竹ヒゴの幅や厚みが薄くなり編みやすく見栄えを大事にする仕事が多くなっています。ところが、この竹ざるは昔の籠のDNAを色濃く受け継いだ堅牢そのもの。


水切りざる


足も細くとも節が入って強度は十分、これだけ底が開いていれば通気性は全く違うし水切れもバツグンです。


篠竹底編み足付ざる


篠竹底編み足付ざる


竹ざるの底をつけないように編み込みで足を作る秀逸な篠竹のざるもあります。水切りざる足付きのように短く切った足を取り付けることを良しとしなかった職人の美学だったのか、これはこれで魅かれる竹細工です。今回の足付きざるを編んだ職人さんとは違いますが、ほとんど同じ網代底を編む早業の職人のYouTube動画がありますのでご覧になられていない方は是非どうぞ。




虎竹の里竹炭石鹸とアトピー

竹炭石鹸


竹炭石鹸にはお陰様で沢山の皆様から嬉しいお便りをいただいております、特に竹炭石鹸手書きの声はご愛用いただきますお客様ご自身の筆跡を拝見できますのでしみじみとご感想をかみしめる事ができております。

 
竹炭石鹸へのお客様の声


そもそも自分が小さい頃からアトピー体質で皮膚病とは長いお付き合いになっています。出張先でホテルに備え付けのボディソープがヒリヒリ痛くて使えない事が竹炭石鹸開発のキッカケでしたので、このようなお声を頂戴しますと本当に嬉しくなってきます。


竹炭石鹸への感想


もしかしたら同じようなお悩みの方は沢山おられるのではないかと思いますが、昨年からのコロナウィルスで手の消毒をする機会が増えていますので手の甲や指に痒みがでる事も多くなりました。少しづつステロイドを使いながら良くなったり、悪くなったりの繰り返しです。


竹炭石鹸の泡


数年前より足に症状が出るようになってずっと傷が絶えませんが(笑)、どうも手荒れと連動しているようにも感じたりしています。頭からつま先まで竹炭石鹸は自分が一番手放せません。




虎竹の道

 
虎竹の山出し


の伐採には時期がある事をご存じでしょうか?地域や竹の種類によって違いがありますものの、冬場のあまり竹の活動が活発でない頃を見計らって毎年伐竹しています。日本唯一の虎竹の場合は1月末までが昔からの伐採期限で、それ以降は品質管理のために伐る事はありません。


日本唯一の虎竹伐採


チビタケナガシンクイムシという害虫の入ってしまった小さな穴が沢山開いている竹材を見る事がありますけれど、もしかしたら伐竹の旬を外しているのかも知れません。しかし、いくら旬が良くても食害ににあう事もありますので山の職人が減り熟練の技が失われつつある今後は竹の管理はますます大切になってくると思っています。


竹運搬機


日本唯一の虎竹の山出しに欠かす事のできない竹運搬車は、元々は農作業用として使われている機械です。それを、狭く曲がりくねった急勾配の山道から安全に効率良く竹を運び出せるように随所に工夫と改良がなされています。


虎竹の山道


何でもない山道なので普通の方は説明しないと、この道がある事を当たり前のように登って来られます。けれど、よくよく考えてもらえば、雨の多い高知県にあって、しかも誰も歩かない竹林の山道がこれほど綺麗に整備されている事は奇跡です(笑)。


虎竹山出し


山道の傾斜や曲りは虎竹の山出しに関わりますので細心の注意を払っている証なのです。


竹虎四代目(山岸義浩)


近くの竹林からはこうやって肩に担ぎ下ろしてきます、伐採されたばかりの竹は水分が多く一般の方が知る竹とは少し違うかも知れません。伐採の時期にお越しになられた運の良い方には竹を持ってもらう事もあって、中には力自慢の方もいましたが長い竹のバランスを取ることが難しく肩が痛いと満足に担げません。


山の職人、竹虎四代目(山岸義浩)


昨日公開したばかりのYouTube動画が既に沢山の方にご覧いただき再生回数が6300回を超えていてビックリしました。皆様のお手元にある虎竹箸や虎竹の籠、名刺入れに至るまで全てこうして運ばれてきます、思えば竹林の竹から山道を通り、土場での選別、工場での加工、職人の細工、そしてお客様への販売までずっとお手伝いさせていただける幸せな仕事です。




黒穂の竹林

黒竹、黒穂、竹虎四代目(山岸義浩)


黒竹の竹林に来ています、伐竹や山出しは随分前に終わっていますが今日は黒穂集めに来ているのです。竹を伐った後、枝打ちと言って小枝を全て取り除きますが実はこの小枝も竹製品に欠かす事のできない素材です。まさに竹は根っ子から稈、枝、葉まで余すところなく活用できるスグレ物と言えます。


黒穂


黒穂と聞いてもどのような物かイメージできない方も多いと思いますが、このような竹の枝です。以前は竹枝を集める専門の方が何人もいて10トン車で何回も往復するほど出荷量も多かった事を思い出します。


黒穂集め


竹の葉はなかなか落ちにくいので暫く竹林に放置してから来ています、小枝同士を叩きあって竹葉をできるだけ取り除いてから集めていきます。


黒竹の竹林


黒穂、竹虎四代目(山岸義浩)


このような竹枝が何になるのだろうか?と不思議に思う事もありました。けれど、穂垣といって竹穂ばかりで作られる庭垣もあれば、袖垣の部材としても使われますので竹虎でも年間で言えばかなりの量を使っています。他にも伐採している竹がありますので、その竹枝も集めれば良さそうにも思われませんでしょうか。しかし、孟宗や真竹、淡竹などの竹枝は黒竹の枝のような黒さがありません。黒々と美しい竹枝はやはり黒竹でないといけないのです。




竹皮下駄の理由

 
竹皮下駄


この緻密な編み込みをご覧ください、素材は竹皮。竹皮と言っても良くご存じない方がおられますが、筍の皮の事です。室内履きに愛用していた竹皮草履を外履きにするのにEVAスポンジ底を貼り付けたスリッパを作った後、竹皮下駄にしたいと思って特別な竹皮編みをお願いしました。


竹皮下駄


竹皮草履は職人の手編みのまま愛用できますし、EVAスポンジはある程度竹皮編みの形を整えていればスポンジ部分を竹皮に合わせて削りだします。ところが下駄となると木製の台を削るわけにはいかないので、台に合わせた竹皮編みが必要となります。腕の良い職人の竹皮編みでしか製作できないのは、こういう理由なのです。


筍から竹へ、竹皮


今年も筍が伸びる季節がやってきます。1日に1メートル以上も成長する事のある竹林は、まさにダイナミック、毎日景色が変わるように感じます。


竹皮


竹皮女下駄


大きくなっていく過程で脱ぎ落していく竹皮は抗菌性があり昔からオニギリを包んでお弁当にしていました、肉屋でも最高級のブランド牛は竹皮で包装されています。編み込めば足当たりの心地よいこんな素敵な履物になるので竹は、つくづく万能選手だと思います。




竹炭塗料で簡単DIY

竹炭塗料、竹虎四代目(山岸義浩)


高温で焼き上げた竹炭微粉末を原料として作られた竹炭塗料があります。近年、耳にする機会が多くなったシックハウス症候群を竹炭の力で何とかできないかと開発されたもので、床下のコンクリート基礎や室内の壁紙の下地へ塗布して使います。


最高級竹炭


臭いの吸着に優れた竹炭なので酢酸、アンモニア、ホルムアルデヒド、キシレン、トルエンなどの臭気及びガス吸着試験結果を見ても一目で分かる効果的な数値となっています。


孟宗竹


しっかり手入れされた孟宗竹の竹林に入ると清々しい気持ちになりますけれど、その竹が竹炭となり、塗料となって心地よい空間作りに役立つのは素晴らしい事だと思います。




戦国時代と蓬莱竹

蓬莱竹、竹虎四代目(山岸義浩)


2月19日の30年ブログ「これぞ土地の守り神!百年蓬莱竹」を書いて以来、どうも蓬莱竹が目につきます。ご関心のある方など多くはないと思いますけれど、一度意識して周りを見渡してみてください。気候の暖かな西日本の田園地帯や里山にお暮しの方でしたら結構な確率で出会う竹です。


ちなみに高知などの場合、虎竹の里から半径10キロ圏内に少し思い浮かべるだけでも10数カ所くらいは植えられています。洪水対策のために川岸に見られる事が多いですが、それだけでなく山林の境界として利用されていているであろう蓬莱竹を所々に見つける事ができるのです。




ところで、このYouTube動画はご覧いただきましたでしょうか?今では洗濯籠に編まれているメゴ笹が、実は戦国時代にはお城の守りに一役買っていたという意外なお話です(笑)。

 
蓬莱竹、竹虎四代目(山岸義浩)


しかし、この蓬莱竹につきましても元々は南方系の植物だったものが遠く日本まで運ばれてきた理由に、これまた戦国時代が関わっているから驚きです。まず種子島に伝わりましたから当時は「タネガシマ」と呼ばれていた火縄銃、これによって戦国の世は大きく変わりました。長篠の戦いで織田信長が武田騎馬軍を打ち破ったのはまさにこの新兵器の登場によるものでした、そして銃の火縄に使われていたのが節間の長い蓬莱竹でした。


戦など好ましいものではないものの竹はどこまでも人と共にあり、さらに平和な世の中になってからは防災に役立っているという事なのです。




続・虎竹スツールの職人

虎竹スツール職人


竹編みの音だけが響く広々とした工房で虎竹スツール作りは黙々と続きます。


虎竹スツール製作


竹に限らず編組細工では型を使って編み込む事が多々ありますけれど、ここにある木型は何処にもないような特別なものばかりです。スツールを製作するにあたって長い時間をかけて試行錯誤しながら独自の工夫を重ね続けて進化されてきた事が分かります。


虎竹スツール製作


編み上がってきた虎竹スツールと内側に組み込む補強籠です。こうして補強籠を見ているとスツール製作着想の原点となった話を思いだします、逆さにした背負い籠を見て椅子になるのでは?と考えた事から創作がスタートしているのです。


お茶農家の竹籠


普通の竹籠であれば重たい荷物を入れるための補強は底や側面に力竹を入れていきます。お茶農家で使われてきた籠には中央に節を入れた半割竹が底の四辺を支えています、このように農作業や漁業などはじめ仕事の現場で活躍してきた籠には考えられる限り最大限とも思えるような設えがされています。


虎竹スツール


しかし、それをしたくなかった職人が虎竹スツールの強度を高めるために考えぬいた技法が補強籠でした。見た目を変える事なく更に快適に使う事ができるのです。




虎竹スツールの職人


 
虎竹スツール、竹虎四代目(山岸義浩)


この30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」2月15日でもお話させていただいたリニューアルした虎竹スツールですが、いよいよ本日から動画でその製作の工程をご覧いただけるようになりました。中央空洞部分に二重八ツ目編みで補強された部分は外観からも確認できます。ところが、リニューアルのキモの部分は竹編みの内側に隠されているのです。


虎竹スツール


虎竹の里、虎斑竹


しっかりとヒゴ取りした虎竹を丁寧に編みこんでいる籠の内部に一体どんな秘密が隠されているのでしょうか?日本唯一の竹林から伐り出され厳選した竹材で編みこまれた竹肌を何度も撫でながら考えていました。


虎竹スツール補強籠


籠の内側に収められている耐久性を高めるための補強籠。「補強籠」などという言葉自体聞くことは、あまりありませんけれど、それがこの虎竹スツールを創り出した職人の強いこだわりと思いを表している部分でもあります。


虎竹スツール


前回も書きましたけれど竹は素晴らしい素材であると共に非常に難しい素材です。特に荷重のかかる家具として形づくる場合は様々なケースを考えねばなりません、今回のリニューアルはひとつの答えです。まず、その工程をご覧ください。




赤茶色の飯籠

 
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自分の小さい頃には、まだ使われていた飯籠は持ち手がついて軒先に吊るせるようになっています。赤茶けた色合いが美しいので前からずっと手元に置いてある籠が一つあるのですが、現在竹虎でご紹介させて頂いているような小さな物ではなくて尺3といって約39センチくらいの大きさがあり炊いたご飯が一升くらいは入られるのではないでしょうか。家族の人数が少なくなるにつれて、このような大きさの竹籠は不要となり電化製品の進歩と共に籠は姿を消してしまったのです。


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大きなサイズの飯籠は編まれる事もなくなりましたけれど、今回久しぶりに瑞々しさの香りたつような青竹を手にすると度々お話させていただく経年変色についてお伝えせずにはいられません(笑)。ご存じない方は、きっと赤っぽい竹と青い竹があって其々の色合いの特徴を活かして作られているのだろう...とか、色のバリエーションのために赤茶に染めているのだろう...と思われるかも知れません。


飯籠


ところが、この赤茶色に輝く色合いは年期の入った証。数十年前は、この青い竹籠と同じ色合いだったのです。にわかに信じられないでしょうか?けれど、これが竹細工の魅力のひとつ、使うほどに色合いが変化し、風合いが増していき愛着が深まっていく竹の良さです。お一人様でお使いいただくような小さな飯籠も長い月日の内に段々とまるで成長するかのように変色してきます。




職人が作り、職人が使う極みの盛り付竹箸

 
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孟宗竹を厳選して一膳一膳、熟練の職人が研ぎだして仕上げていく竹皮付取り箸は(大)で27.5センチ、(小)で23.5センチのサイズなのですが竹材で一番丈夫な竹表皮を箸先の先まで残したまま綺麗に削られていると言うのが凄いところです。


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元々、職人の手技から生み出される竹箸なので沢山製造する事もできなかったのが、近年はさらに良質の竹材が手に入りづらくなった事も重なり度々品切れとなってご迷惑をお掛けする事もある菜箸です。日本料理をされる板前さんの中には、このお箸でないとダメだと話すファンがいるのも、一度持ってみると使いやすく手に馴染む感じに納得です。


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太いお箸ならいざ知らず、細く細く削ってもしなやかで強い性質を持つ自然素材は竹をおいて他にはありません。プロの繊細な盛り付けにも活躍する竹箸が、どのようにして製造されているのか?YouTube動画をご覧いただきますと思うよりも太い竹素材に驚かれるかも知れません。竹切断面に丸い模様のように見えるのが維管束とよばれる養分を運ぶ管、表皮に近くなるほどに細かく密集している様子がお分かりいただけます。




「冬痩せ」山出しされた虎竹を土場へ

 
竹虎トラック


日本唯一の虎竹は竹林で伐竹された後、運搬機に載せて細い山道を下りてきます。1回に載せられるのは15束から20束程度なので何回も往復してトラック一車分くらいになれば、ようやくこうして積み込まれ選別される土場に運んでいくのです。


切り倒した虎竹


伐採時期は1月末と決められていますものの、伐り倒した後の枝打ちや搬出作業は仕事の都合によって先に延ばす事も多くて今時の竹林では山出しされるのを横になって待つ竹達が見られます。


日本唯一の虎竹


虎竹は大学の研究者の方のお話では土中の特殊な細菌の作用と言われますが、同じ竹林でも年によって色付が違ったり気温の変化に敏感だったりしますので日当たりや潮風など虎竹の里の様々な自然環境が影響していると感じます。


山出し、竹虎四代目(山岸義浩)


この竹運搬機一台分の竹で、ちょうどトラック一車分になりそうです。


虎竹山出し


伐り出されたばかりの竹は水分が多く重量もあり竹の積み下ろしは大変な重労働です。そこで虎竹の里には「夏痩せ」ならぬ「冬痩せ」という言葉があるくらいです、虎竹が今の何十倍と出ていた頃を忍ばせる名言です(笑)。




メゴ笹(オカメザサ)と戦国時代

 
メゴ笹手付き籠


メゴ笹細工は竹ヒゴを作ることなく伐採した素材を使ってすぐに編むことができ、出来あがった籠は丸竹のままでケバ立ちもなく脱衣籠などにもってこいの籠だったのです。それが一時は「幻」と言われるまでに見られなくなった理由は、メゴ笹の扱いの難しさにあります。


メゴ笹竹林


伐採して青みのあるうちは柔らかくしなやかに曲り編みやすいのですが、すぐに乾燥してしまい硬くなってしまい籠にできないのです。そこで仕事のできる分だけ伐採しては編み、伐採しては編みという事を職人は繰り返すのですがメゴ笹を伐る時期も決まっているため沢山作ることはできないのです。


根曲竹


それにしても細い稈がまるで髪の毛でも生えているかのようにビッシリと詰んで生えています。根曲竹の竹林も入るのにも歩くのにも苦労すると職人から聞きますけれど、メゴ笹の密集具合はその比ではありません。


城址


かって戦国の世には日本国中に砦のような土塁で固めたお城がありました。そこにメゴ笹を植えていた話を古老の職人から聞いたことがあって、とても面白いと思いました。密に生えているメゴ笹の特性を上手に活かしているのです、いざ戦が近づくとなれば周りのメゴ笹を短くハス切りにするそうです。するとお城の周りは丈夫なハリ山となり何と防衛機能として役立つのです。衣食住すべてに関わって人に寄り添ってきた竹が更に意外な力を発揮していたという事です。




白竹網代弁当箱をリニューアルしました

白竹網代弁当箱


白竹網代弁当箱は、一般の方が竹のお弁当箱と聞いてまず真っ先にイメージする竹編みの弁当箱の中の弁当箱ではないかと思います。細い竹ヒゴで隙間なく、しっかりと編み込まれたつくりは丈夫な事はもちろんですが、見た目にも美しく通気性があって中身が蒸れないので美味しいランチをいただけます。


白竹網代編み


竹の油抜き加工の方法には熱湯を使う「湯抜き」と、ガスなどの火を使う「火抜き」の二種類があります。どちらも、それぞれ特徴がありますが、今回リニューアルした白竹網代弁当箱に使う竹材は火抜きの竹材を使っています。少し光沢が増してみえるのは油抜き加工の違いのせいです。


白竹網代弁当箱、竹虎四代目(山岸義浩)


この30年ブログをご覧いただく皆様は、自分がいつも竹の経年変色の事をお伝えしているのをご存じかと思いますけれど、火抜きの白竹は経年変色が独特で段々と濃い飴色に変わっていくので何ともたまりません。


弁当箱内側


白竹弁当箱力竹


しっかりした力竹も入れて長くご愛用いただける作りです、人が年齢を重ねると同じように年を追うごとに深まる風合いもお楽しみいただけたらと思います。


飯干名人の「かるい」、山の自然、職人、使い手

名人作の背負い籠かるい


名人の作った「かるい」と呼ばれる背負い籠がある。普通の背負い籠は底が広く平地に置くと倒れないうように編まれているが、急勾配の多い地域で使われてきた「かるい」は横からみると逆三角形になっていて自立しない。山の斜面に置いて使いやすく担ぎやすいように考えられた独特のものなのである。


しかし飴色に光る竹肌をご覧になられて、これが元々は青々とした真竹だったと思う方が何人いるだろうか?油抜きをして白竹にした竹材をこうして籠にしている訳ではない、香りたつような真っ青な竹を伐りだし、そのまま割って作られている。信じられない人は、このブログ最下段にあるYouTube動画で名人が手にする真竹に、そして出来あがった「かるい」の色合いに驚かれるかも知れない。


かるい、竹虎四代目(山岸義浩)


先日、手の平にのるようなミニチュアの籠をいだたいて、飯干名人の美しい籠を思い出していた。残念ながら沢山いただいたのに一つも手元に残っておらず、かろうじて置いてあった二回りも小さな籠は現在中断しているパリの展示会場に飾られている。


かるいミニチュア


伝統的な竹細工は、いくら腕が良くても時代に取り残されてしまう。使う人がいなくなれば必要とされなくなるのは仕方のない事か、昔なら作ることなどなかったような小さな籠が土産物として並んでいたのを寂しく見ていた。神業のような竹のあしらいも、良い竹があり、物の価値を知って愛用する人がいてこそ。山の自然、職人、使い手の三方のどこかが崩れても成り立たないのだ。




遂に出来ました、四ツ目エビラハーフサイズ

 
干し野菜にエビラ


今までありそうでなかった四ツ目編みエビラのハーフサイズを作る事にしました。そもそもエビラ(竹編み平籠)そのものが、養蚕が盛んだった頃の農家の仕事道具であり今の日本で見られるといえば歴史民俗資料館のようなところでホコリをかぶっているような代物なのでご存じの方は多くありません。


土用干しに四ツ目編みエビラ


昔から定番であった網代編みのものがあれば十分に事足りているのですが、近年ご自宅で梅干しを作られたり、手軽にできる干し野菜の美味しさや栄養効果が知られるようになって竹虎のお客様の中にご愛用いただく方が少しづつ増えて来た事もあり、前々から復刻したかった四ツ目編みを製作する事にしたのです。


便利なハーフサイズの干しざる


自分たちのような田舎に暮らす者にとりましては90センチ×60センチという通常のサイズが当たり前で使いやすいと思っています。けれど、やはり都会暮らしの皆様には使うにも収納するにもハーフサイズくらいがちょうどだと言うお声を多くお聞かせいただきます。昨年は通常サイズしかご用意ありませんでしたものの、ようやく今シーズンからはお手頃な大きさで通気性の良い四ツ目編みもお選びいただけます。




惚れ惚れ根曲竹の一点もの籠

 
根曲竹脱衣籠


根曲竹は竹という名前が付いているものの笹の仲間で千島笹(チシマザサ)と呼ばれたりもします。ただ、やはり笹という優しいイメージとは少しかけ離れたところがあって大きなものだと3メートル以上のものもあり、冬場には雪に埋もれて鍛われるという材質は堅牢そのものです。熊が出るような山深い竹林に分け入って根曲竹を伐採する様子をYouTube動画でご紹介していますので興味のある方はご覧ください。




爆竹を鳴らし、笛や大音量のラジオを携帯しながらの竹伐採には少し驚きます(笑)。虎竹が広い日本の中でも、虎竹の里にしかないように別の地域には全く違う竹文化があって面白いのです。


根曲竹籠


思えば世界に約1300種もの竹の仲間がありますけれど、何と狭いと思われている日本には半分近い約600種もの竹が成育しています。これぞ南北に長く多様性豊かな日本列島の自然だと思います。


根曲竹買い物籠


そこで培われて生まれてきた竹細工だから魅力的です。この八ツ目根曲竹手提げ籠バッグも白竹の八ツ目にはない野武士のような表情がたまりません。前に動画でご紹介させて頂いた一点づつしかない根曲竹の籠たちを改めて見直してみても惚れ惚れします。




「タンガラ」と言う名前の背負い籠が出来ました

 
タンガラ、竹虎四代目(山岸義浩)


「タンガラ」と聞いてもピンと来る方は多くないかと思います。それもそのはず、今ではほとんど知られる事もなく細々と残る竹細工のひとつ、漢字で書くと「炭殻」、つまり炭鉱で石炭を運ぶのに多用されていた背負い籠の事なのです。


石炭


石炭という言葉は昔から知っていますが、なかなか実物を見る機会はありません。ところが先日、タンガラが出来とたんに石炭を持っている方と出会ったりしますから面白いものです。こうしてみると輝いてなかなか美しいものです、確かかっては黒いダイヤとも呼ばれていたはず、持ってみますと思っていた以上に軽いのが意外です。この石炭をこのタンガラに入れてこうして使っていたというのをYouTube動画でご説明していますのでよろしければご覧ください。




いかがでしたでしょうか?縁巻にコブのように飛び出した独特の形にも理由があることが良くお分かり頂けたのではないかと思います。


タンガラ、背負い籠


タンガラ、背負い籠


この昔ながらの背負い籠は孟宗竹を使ったり真竹で編まれたりするのですが、どちらも一本の竹を割り職人が腕ひとつでこのような人に役立つ籠に仕上げていきます。一度拝見させてもらいましたが本当に格好が良かったです、気迫のこもった仕事をされる職人の姿は今でも忘れられません。




大正市場の生簀籠で思い出した鰯籠

 
巨大なイワシ籠


昨日の中土佐町久礼は大正市場にある大きな生簀籠で思い出す竹籠がある、この30年ブログには何度か登場している巨大鰯籠だ。横3.6メートル、奧行き2.6メートル、高さ2.3メートルだから竹籠と言ってよいのか何なのか、とにかく初めて見た時には腰を抜かして言葉をなくした。


鰯籠の材料、孟宗竹


編み込みに使う材料は全て近くで伐採してきた孟宗竹だ。豪快に手割している竹ヒゴを見ていると竹虎でも作っていた、土壁の下地に使う壁竹のようだった。


鰯籠竹職人


目を丸くしている自分に「どうだ、これ」と言わんばかりの職人。脚立を使って編んでいく竹籠など何処にあるというのか?四角い籠の内側に入って仕事される職人を上から覗くとまるで部屋の中にいるようだと思った。


生簀籠


一人では決して編めない籠だった、家族三人がそれぞれ役割分担して息をあわせて作り上げていくチームワークの良さにも心服した。真竹使った土佐の生簀籠も一人では到底作れないサイズなのだが、こうして比べると随分と小さく軟に見えてくる。


鰯籠の海


竹をそのまま使った豪快な姿が格好いい。今では見られなくなった竹の技のひとつではあるが、青空の下、威風堂々と八代海を見つめていた。


もう出来ません、70cm特大サイズの竹ざる

 
70cm特大竹ざる


須崎の漁港には、子供たちなら何人も入るような大きな大きな竹編みの生簀籠が無造作に置かれてあった記憶がある。あの時には何とも思っていなかったけれど、あれだけの竹を扱うには竹の技はもちろんだがかなりの腕力も必要な竹細工だった。


竹編み生簀籠


生簀籠は、いつの間にやらなくなって今では中土佐町久礼の大正市場に飾られているものが見られるくらいだろうか。下から見上げても大迫力、こんな籠が浜にゴロゴロしていたので良い時代だったのかも知れない。竹籠や竹ざると言えば農家とか山間部で使われているイメージがある、しかし実はこうして海の仕事にも大きく関わり無くてはならない存在だったのだ。


青竹ざる


この丸ざるも太く良質な真竹を伐り出してくる職人がいなくなると同時に編む職人も高齢化で小さな籠は大丈夫だが、このように力のいる大きな籠になると、なかなか思うように編めないのだ。それでも、こうして青々とした竹ざるが出来ている。これだけのサイズで、この堅牢さ、日本ではすでに見る事のできなくなった深ざる、一般の方はあまり見る機会もないが、昔からの仕事でどうしても必要な方々が待っている。




明日に続く竹の道

竹の道


その日、虎竹の里の細い山道には見慣れないビニールが白いロープのようになって急な坂道のずっと上まで続いていた。これは一体何だろうか?知らない方が見たら見当もつかないに違いない。


虎竹の里、山の職人


虎竹の伐採は1月末までだが竹林からの搬出作業が残っている。山道から長い虎竹を運び降ろすために使う運搬機械にはキャタピラーが付いていて大概のキツイ勾配も平気で登り下りできる、ところが大敵があって、それは雨だ。


竹山出し機械


路が雨に濡れてしまうと、さすがの運搬機械も滑ってしまい登り下りできなくなる。長く重たい伐採したばかりの竹を安全に運ぶために雨が降ったら山の仕事は中止する。


竹の道、竹虎四代目(山岸義浩)


ずっと好天が続いていた虎竹の里だが、2月下旬あたりから様子がおかしい、珍しく雪まで降る始末。この時期は山道が濡れてしまうと気温が低いため思うにように乾かない。そこで、このビニールが登場、山の職人は山道にビニールをかけて養生する、少しでも濡れないようにとの工夫だ。


竹職人、竹の道


そもそも搬出のための山道は夏場の大雨で崩れていたりしている事も多い。大きな石を取り除き、平らにならして自分で整備しているから誰よりも道を知っている。ビニールまでかけて道を守るような黙々と続く仕事はずっと昔から繋がっているのだろう。


明日に続く竹の道だ。




別注特大虎竹ピクニックバスケット

 
別注特大虎竹ピクニックバスケット


別誂えの特大虎竹ピクニックバスケットが出来あがりました。寸法をお伺いした時には大きいなあと思いましたけれど実際に出来あがると改めてサイズ感を思います。通常の虎竹ピクニックバスケットと比べるとこの通りです。


春の行楽、お花見


先週近くの土手にある桜並木を歩いていると早くも花が咲いているものがあります。真っ青な空にほんのり桜色の花びらは、昨年からのコロナの騒動で感じる閉塞感をどこかへ消し去ってくれる気がしました。


虎竹ピクニックバスケット


今年のお花見も密を避けて例年とは違った形にせねばなりせんが春は確実にそこまで来ています。


お花見の虎竹ピクニックバスケット


暖かくなったら通気性の良い竹製のお弁当箱やバスケットが活躍する季節、竹たちも待っています。




里山の竹三点セット

 
竹の里山


曲りくねった道を走っていると竹が見える、その多くは孟宗竹だ。町からはずっと遠く離れた山深い所に来ているが人の暮らしはあって、そして人が居るところには竹がある。わずか300年か400年前に日本に渡って来た孟宗竹が、これだけ全国津々浦々で見られる事に改めてこの竹の有用性を感じる。


四方竹


手前に見える小振りなのは四方竹、普通は丸い稈がこの竹に限っては四角い形をしている。これも中国原産だが変わっているのは形だけではない、シャキシャキとした触感が美味で人気がある筍が何と秋に出るのだ。


孟宗竹


このまるまると太く高く伸びた孟宗竹はどうだ!春はこの大きな竹の筍を収穫して、秋には四方竹の筍を食する事ができる。川の流れも美しい豊かな集落には先人の知恵が生きている。


蓬莱竹


これで防災に活躍してきた蓬莱竹でも植えられていたら「里山の竹三点セット」か?いやいや、竹細工に適した真竹や淡竹(はちく)は三大有用竹とも言われるほど竹細工には定番の無くてもはならない竹だし、黒竹やメゴ笹、寒い地方だと根曲竹やスズ竹など細い竹もそれぞれに性質を活かした使われ方がある。やはり竹はスゴイ。


土佐の「いごっそう」白竹手提げ籠

 
白竹手提げ籠バッグ、竹虎四代目(山岸義浩)


たまには路線バスに乗るのもいい。自分でハンドルをにぎって何度も通ったことのある道なのに、目線が高いせいか?大きなエンジン音に揺られるせいか?まるで違う場所を走ってるようだ。見た事もないような景色が続いていると思いながら県境まで来た。


白竹手提げ籠バッグ、竹虎四代目(山岸義浩)


バス停に降りるのも、乗るのも一人、静かな山間の集落に白竹手提げ籠と共に。土佐の「いごっそう」は、肥後「もっこす」、津軽「じょっぱり」と並んで日本三大頑固と言われるが、そんな気質で編み上げた。自分を主張して譲らない、こびない大きさが気に入っている。


忘れ去られた里山の逸品、シダ編み籠

 
シダ盛り皿、竹虎四代目(山岸義浩)


里山に出かけると、どこにでも見かける植物のひとつにシダがあります。しかし、このシダが防水性、防湿性に優れ昔から台所やお風呂場で活躍してきた籠の素材と知る人がどれだけいるでしょうか?


シダ編み籠


艶々とした美しいシダ編み籠、まるで硬質のプラスチックのような素材感は使うほどに味わい深く変色し、何十年と長くご愛用頂けるのです。


シダ加工製造


シダ材は、まず専用釜で2時間程度煮たてます。こうして柔らかくなったシダ材を更に手で入念にしごいて、しなりと粘りのある素材にしていくのです。


シダ籠職人


熱湯処理した後、乾燥しないように保存した材料を1~2週間の間に籠に使いきりますが、なぜかと言いますとその期間を過ぎると硬くなって籠に編めなくなってしまうのです。丈夫で美しいシダ編み籠ですが製作にはこんな苦労があり、少しメゴ笹洗濯籠と似たところがあって、あまり沢山作ることができないのです。


シダ編みかご


今回は定番の丸型の籠の他に小ぶりで使い勝手の良さそうな楕円形の籠がいくつか編み上がっています。


シダ鍋敷


籠の底編みは何本ものシダの茎をかさねて交差させた丸いレコードと呼ばれています、これを応用して鍋敷きに作っています。


シダ材


使う材料はコシダです、オオシダは粘りがなく折れてしまいます。一度熱湯処理したシダ材は徐々に硬くなって使えなくなるのですが、再度熱湯処理すれば柔らかくなるものの、やはりこのように折れやすい素材になると言います。


シダ籠


このシダ籠の色合いはあまり一般的には見られないものです。熱湯処理した直後からシダの色合いは薄くなり、編み上げてから日光に当てることによって濃いツヤのある色合いになります。そしてその後は皆様のご愛用いただく具合により深みを増していきます。




竹の光

 
竹ペンダントライト


竹ペンダントライト


竹ヒゴをモダンにあしらったペンダントライトを見つけました。昼は美しい形そのもや竹の素材感を楽しめますが、暗くなってからはキチンと並んだ竹の格子の影、その隙間から漏れ出す光が、どこか懐かしい気分にさせてくれます。


竹灯


少し前なら天井から吊り下がるこのような竹照明は、何ら珍しい物でも、趣向を凝らしたというものでもなく普通にどこのご家庭でも見られていたライトの一つでした。


竹ペンダントライト


竹の編み方だけでなく竹ヒゴの厚みでも表情の変わるペンダントライトは心安らぎます。


四ツ目籠


笠


竹の照明は自由です、このような四ツ目籠の中に電球を入れて使われていたり、日の光をさえぎる笠が電球のシェードにされたりと色々です。


虎竹ランドリーバスケット


虎竹六ツ目ランドリーバスケットに日差しがあたって濃い影を落としています。竹灯の魅力はこのような陰影です。


虎竹林


しかし、どんな照明や竹灯も竹林の向こうから差し込んでくる眩しい竹の光にはかないません。




古老が編む磨きの竹手提げ籠バッグ

 
真竹磨き縦ヒゴ手提げ籠バッグ


竹表皮を薄く剥いだ竹細工は「磨き」と呼ばれています。伐採してきた青々とした真竹を一本そのまま大きなUの字形の磨き包丁で磨いていく場合もあるし、細い竹ひごにしてから磨いていく場合もあります。


磨き細工の竹端材


室内の工房で磨きの仕事をしていると、一歩部屋に足を踏み入れただけで青竹の瑞々しい香りにむせこんでしまうほどです。


竹職人


けれど竹細工70年というキャリアの職人の仕事場は庭の軒先、暖かな日差しが差し込んで来くるタイミングが始業のベルが鳴るようなものです(笑)。


青竹細工


愛犬が気持ちよさように居眠りする横で手仕事は黙々と続きます。


竹籠バッグ、竹虎四代目(山岸義浩)


こうして編まれた磨きの手提げ籠バッグ、縦に何本も入れられた幅広の竹ヒゴが特徴的です。最近はこのような籠はあまり見かけませんので自分用に一つ手元においてあって、そろそろ一年越える頃です。早くもこのような青みがかった色合いは上品なベージュ色に成長しています。