虎竹スツールの誕生には面白い話があります。元々は自分が蓬莱竹で編んだ背負い籠を逆さにして見て、ふと「ここに腰掛けられたら椅子になるな」と思った事が始まりだそうです。それまでも竹細工と言えば籠かザルばかりで、あまり面白みを感じておらず自分なりの竹の造形をずっと考えられていたからこその閃きだったのかも知れません。
しかし、それから実に18年という月日を重ねて現在の竹スツールが完成したのですから、その真っ直ぐな姿勢に頭が下がります。竹のファニチャーは、その素材を強度の必要な机や繰り返し荷重のかかる椅子等として製作することの難しさと、しっかり機能した時の素晴らしさがありますが、自分もこの竹スツールに出会った11年前からずっと使用してきましたので愛着と共に課題も見えてはいました。
今回の虎竹スツールには中央の丸い空洞穴上部に二重八ツ目編みを追加して強度を増しています。ところが本当の強さの秘密は籠内部の見えない所に補強籠を別に編んで組入れている所にあるのです。最終的には内部補強籠を滑り止めの底部分丸ゴムでしっかりと留めて固定されています。この辺りの工程は動画でご覧いただく方が分かりやすいと思いますので、またご案内したいと思います。
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