孟宗竹は日本最大級の太さと長さを誇る竹で大陸から日本に渡ってきたのが江戸時代の事です。諸説ありますが、わすが300年から400年程度前に入っ来た竹であるにも関わらず全国津々浦々に生育している所をみると当時はどれ程珍重され人々の暮らしに役立ってきたのかが分かります。
北海道松前町を北限として(近年では温暖化で更に北に進んでいます)いますけれど、以前は山形県庄内地方が生育の限界と言われ名産地である湯田川温泉にお伺いした際には雪の中に逞しく伸びる孟宗竹の竹林で楽しい時間を過ごした事を思い出します。「孟宗」と言えば孟宗竹の筍のことを指すほどの筍料理を愛する地域でしたが、やはり南方系の竹には寒さが堪えるのか四国や九州にあるような大きなものは見当たりませんでした。
それでは、このような太く長く立派な地元の孟宗竹はどうするかと言いますと実は意外なほど竹細工や工芸には活かされておらず、そのため竹林を手入れする事もありませんので放置竹林の代名詞のようになっているのが現在の孟宗竹なのです。生命力にあふれ、強い繁殖力、大きな身体で、かっては武家のステイタスシンボルとして庭園での観賞用に大流行したこともある竹が今では邪魔者扱いです。
日本の竹細工は編みやすい優しい、柔らかい竹素材へどんどん移行してきました。昔ながらの孟宗竹を使った花籠や荒物細工をしていた職人も少なくなって来た中で孟宗竹の身の厚さを活かした竹炭の原料として、あるいは竹箸の素材としても多用されています。
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