昨日の30年ブログの記事で不思議な気持ちが沸き上がると言ったのは、この東北宮城で編まれる肥料ふりに使われてきた肥籠が、遥か南の鹿児島日置の箕と酷似しているからである。
そもそもこの肥籠自体の編み方が独特で箕作りの製法である。だから、この辺りまでの編み込みを比べると、東北なのか鹿児島なのか、どちらで編まれものか分からないくらいなのだ。
肥籠にはスズ竹、桜皮桜皮、藤を編みこんでいく。北と南では竹材が違うのでさすがに全く同じ素材は使われていない。
ところが西日本にはスズ竹に負けない柔軟な素材の蓬莱竹(ほうらいちく)がある。鹿児島の箕は蓬莱竹と桜皮を使って編まれるのだ、その編み込みに使われるのは東北の職人さんが使っていたナギナタとよくにた箕刀(ミガナタ)である。
ちなみに蓬莱竹のYouTube動画を作っていますので是非ご覧ください。
これらは職人さんの工房にあった古い箕たち、肥籠と同じような素材で編まれているものの箕先(箕の先端部分)が平らなので宮城でも仙南の作りだと言う。
箕先の尖った仙台より北で編まれていた箕だ。立てた時に箕先が傷まないようにUの字に曲げたソゾミ(ガマズミ)は長めに取られている。
ソゾミは南天のような赤い実のなる木だが曲げてから一旦固まると元に戻らない。日置の箕にはビワの木が使われている。それぞれ山の樹木の特徴を知り上手に活かしているのだが、竹を使った箕のほとんどが網代編みで作らている西日本の中で、まるで飛び地のように突然日置の箕が現れる。もしかしたら、消えてしまった産地があるのだろうか?南北に長い日本地図と、にらめっこが続く(笑)。