先日は古い御用籠をご紹介させていただきました、籠の名前を聞いてもお分かりいただけない方でもああして画像をご覧いただきますと昔に通りを走っていた自転車の荷台に縛り付けられていた「あの籠」を思い出されたのではないかと思います。本日、ご覧いただいていますのは定番だった御用籠を別誂えサイズで製作していたものです。御用籠は荷物を沢山入れる事を考えられてサイズは数種類あるものの、どれも深さのある籠ばかりでしたので普段の暮らしの中でもっと手軽にお使い頂けるように高さを低く浅めの籠にしていました。
御用籠はプラスチック製コンテナの普及と共に徐々に作られなくなりました。駅の構内でこのようなプラスチックの容器が清掃用や運搬用として使われていますけれど、かっては同じような用途に竹が役立っていたのです。プラスチックは衝撃に弱く割れてしまう場合があっても、竹籠は頑丈なようで編み込んである分しなやかで強く当たっても耐久性があって優れていると言われてきました。
けれど、残念ながらこのような御用籠はほとんどが姿を消しています。竹職人の高齢化と共に、まずこのような大型で製作に技術だけでなく力が必要な籠から無くなっていくのです。使ってこそ活きる竹細工です、御用籠の使い勝手の良さを知る年代がいる間はまだ猶予はあるものの次の世代ではどうでしょうか?内側に一閑張り加工をした御用籠が懐かしく思い出されます、堅牢な籠に合わせてより耐久性を高めるために柿渋ではなくウレタン塗装で仕上げていました。今もどこかで誰からのお手元でご愛用いただけているはずです。
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