冬の暮らしには何と言ってもミカンです。昔に比べればコタツを使うご自宅は少なくなっているようですが、家族団らんの中心にコタツがあればホッと心安らぐような気持ちになるのは自分だけではないと思います。そして、その上に竹籠に入ったミカンが日本の定番だったのです。
手軽にお使い頂ける果物籠として、無双籠と呼ばれる竹籠は人気でした。軽く丈夫で何処のお家に遊びに行っても一つくらいは見かけるような籠のひとつでしたが実は作りは凝っていて底編みから立ち上げた編み込みは折り返して二重編みのようになっているのです。
この籠に魅入られて竹の世界に入ってから長くこの籠を専門のように作り続けられている八郎名人は黙々と手を動かされています。若い頃のような手さばきはないものの全く無駄のない流れるように編み上げていく様はさすがです。
以前、海外で長く生活されているお客様のリクエストで漆仕上げにしたのも八郎名人の無双籠でした。湿気が多くて普通の竹籠ではすぐに傷んでしまうという異国の地でも生まれ育った日本の竹を使いたい...そんなご希望にどうにかしてお応えしたいと思いました。
初めての試みでしたものの日本古来の塗装である漆ならこの通り、美しく、そして見るからに耐久性の高まった頼もしい表情の籠に生まれ変わったです。無双編みの竹編みの技は約6時間撮影したものを80分のYouTube動画にまとめてみました、どうかご覧ください。
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