お正月といば三本束ねた大きな青竹をハス切りにして飾り付けられた門松、最近では少なくなったとは言えやはり見る度にの気持ちがピシッと改まり、清々しい面持ちになってきます。新春には、このような青々とした竹が多用され良く似合いますので今日は新竹で編まれたばかりの茶碗籠を持ち出してきました。
この大きな方の茶碗籠は直径35センチで普通のご家庭用ですが、隣の小振りな籠は直径25.5センチでお一人暮らしの方に喜ばれるコンパクトサイズとなっています。人の暮らしに寄り添う竹籠は人の生活にあわせて姿を変えていきます、大家族が当たり前だった頃の方が見たら、こんな小さな籠を台所で使うと聞けば驚くかも知れません。
青竹細工には、主に粘りがあり節間の長いこのような真竹が使われています。ガスや熱湯で油抜き加工せずに編み上げていくので虎竹や白竹などの竹細工とは又違って出来あがったばかりの瑞々しさといったら何と表現したら良いか分からない神々しいほどの美しさを感じる事があります。なるほど、竹取物語で竹の中からかぐや姫が誕生するという空想した古人の気持ちも良く理解できます。
なので青竹細工の職人さんはこの「青さ」をとても気にされている方がいます。中には青い時が見栄えが良いので急いでお客様に届けようとされる事すらあります、確かに生鮮野菜のような側面が少しあって最高の状態を多くの方に知って頂く事も必要かも知れません。
しかし、青竹細工がその色合いを保つ時間は皆様が思っているよりずっと短くほんの一時に過ぎません。青竹を伐採した切り口などを見れば分かりますけれど、あれよあれよという間に乾燥して白くなって色褪せます。このような青竹籠がこのままの色合いでいれば何と素晴らしいことか...多くの竹人が同じような事を思い、青さをそのままに留める工夫を考えてきたものの自然の色合いに勝るものは今もってありません。
丁寧に編まれた四枚組の真竹ざる、編まれてから暫くして青さは少しづつ抜けていきます。
一年以上経過するとこのような白っぽい色合いに変わってきました。そして、青竹細工は時間職人によって更に進化していきます、これからが始まりなのです。
コメントする