とにかく格好が良い職人だった。このタンガラと呼ばれる背負い籠は元々は炭鉱で石炭を運ぶのに使われていた物で漢字で書くと「炭殻」。重たいに荷物を運ぶのに孟宗竹のような丈夫な竹が使われる事が多かったようだ。太い孟宗竹で編む場合には1本子(いっぽんこ)と言う一枚の竹ヒゴを使い、真竹の場合には孟宗竹のように大きくはないので二本子(にほんこ)という幅の狭い竹ヒゴを二枚並べて編んでいる。武骨で丈夫な竹細工は上質な竹から生み出される、今回使われた青々とした真竹を粗割する。節を払う、竹編みがはじまる。
淡々と進む竹編み、終始寡黙な職人から伝わる野武士のような気迫。この職人は真竹と向き合い、格闘しているかのようだった。編み上がった時、工房から一気に緊張感がスーッと消えるのが見えた。
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