古い青物細工は魅力的だ。現場で鍛えられているので何とも言えず迫力がある、竹の強さ、しなやかさ、粘り、軽さ、竹の良いところを100%活かしきっている。長い年月を経てずっと磨き続けられていて完璧に完成された作品とも言える。
農家に立ち寄って納屋にかけられているコエジョウケは面白い。そして、どれも熟練の技に圧倒される。美しく編まれた籠を、農作業で使い込むから更に格好が良くなる。作り手と使い手の息があうと、こんなになるのかと感動する。
だから、現在コロナ禍ながらパリで開催されている竹細工展には本物の竹ばかり選んでいるのだ。本職が編んで鑑賞にたえる程度の良い竹籠というのは結構少ない。
さて、そんな古い竹籠がひとつ持ち込まれた。たたずまいですぐに分かる、かなりの腕前の竹細工師にちがいない。修理との依頼だが、新竹の伐採もはじまったこの時期に安心して任せられる職人は多くないけれど、これはキッチリ直して更に末永くご愛用いただきたいと思う籠だ。
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