この夏も暑かったです、そしてコロナでご自宅で過ごされる機会も多かったと思います。ざる蕎麦や素麺など季節定番の食べ物をご家庭で食されるためなのか、竹ざるや蕎麦せいろなども例年に比べて非常に多くお求めいただいたように感じています。
今年からは竹を高温窯で処理して防虫、防カビ効果を高めた炭化加工の製品に切り替えています。竹製品をご愛用いただく皆様にはあまり気にされる事もなく、ご存知の方もそれほど多くはない竹の虫ですが家庭で多用しますザルや籠にはチビタケナガシンクイムシという小さな虫が入って細かい穴を開けてしまいます。
身の厚い孟宗竹の製品などにはタケトラカミキリと言うカミキリ虫の仲間が入る事が多いです。この虫の開ける穴は遠くからでも見えるほど大きく、竹材自体にもダメージを与えますのでとてもやっかいです。さすが虎竹の里は竹が多いので普通に実家の玄関にもこうしていてくれたりします(笑)。しかし、さすが竹を喰う虫...美しい、敵ながら天晴!
(ちなみに「タケトラ」と名前付いてますが竹虎は全く関係ありません!当然ですが。)
旬の良い時期を選び、しっかり管理している竹でも虫害を100%防ぐことはできません。自分の大嫌いな薬剤処理をした竹材でも入ってしまう竹には不思議と虫が入るのです。近年増えて来た虫の原因のひとつには気候変動が考えられます、冬でも寒くなく明らかに昔の季節感とは違っているので害虫の成育に変化が出ているのかも知れないし、竹材伐採時期そのものが微妙に異なってきている事も感じます。
そして大きな原因は山の職人の不在です。竹林を健康に美しく保つためには人の手が欠かせないものの年々高齢化して以前のような管理が困難になりました。竹の元気がなくなると、てんぐ巣病という植物病害が起こりますけれど他の竹林だけでなく虎竹の里でも見かけます。
このような、いつくかの要因が重なり良質の竹材ばかりが山から出てこない中で製品にせざるをえないことが虫害とは無関係ではありません。自分達も最大限の努力と工夫をしながら、この問題とは向き合っていくのは当然ですけれど、これからはお客様にも、このような日本の竹が置かれている現状を少しづつご理解いただいていく事が必要です。