竹は木でもなく、草とも違う竹特有の丈夫さ、しなやかという特性を持ち、身近にあって手に入りやすく加工性も高いことから縄文の時代から籠の素材とした使われてきています。竹の生育域というと日本や中国を思い浮かべる方が多いかと思います、しかし東南アジアやオーストラリア、中南米、アフリカなどの温暖で湿潤な地域に広く分布して、世界に約1300種、日本には約600種があるのです。
もともと南方系の植物なので孟宗竹などは日本の北限が青森か函館あたりと言われてきましたが近年の温暖化で少しづつ変化しているようにも感じます。そう言えば30年近く前には北海道のデパートにも売り出しに行ったことがありました、クマザザなどは沢山あるものの大きな竹がなくて竹製品は結構珍しがられた覚えがあるのです。
竹は他の木と違って、受精しなくても地下茎から毎年筍が伸びてきて生育域を広げていきます。ところが、60年とも120年とも言われる間に一度、竹が花を咲かせることがあります。竹の花が開花すると、群生している竹が一斉に枯れてしまいます。虎竹の里の古老に聞くと虎竹の林も一部で開花した時期があり、やはり一帯の竹がすべて枯れたそうです。
では竹の花というのはどんなものでしょうか?実は竹はイネ科の植物です。なので竹の花もまるで稲穂のような姿をしています。日本の竹の品質が世界最高と言い続けています、ササニシキやコシヒカリといった世界最高レベルの美味しいお米ができる日本で同じイネ科の竹の品質が良いのは自然な事だと考えているのです。
そんな竹ではありますけれど竹には仲間に笹もあって、皆さん日ごろあまり疑問も持たずにおられますけれど一体竹と笹の違いをご存知でしょうか?実は最初に答えを言ってしまいますと明確な違いは分かっていないのです。もちろん大まかな選別はされています。まず背丈で別れていて背丈の高いものが竹、低いものが笹。両方とも筍から成長していきますが、その筍の皮が稈からすべてなくなるのが竹皮がずっと残ったままなのが笹といった具合です。
しかし、背丈の低い竹もあって例えば高知ではメゴ笹と呼ばれて洗濯籠などに多用されるものがあります。これは全長で1メートルから2メートル程度の高さで竹としては小さいものですが竹類なのです。浅草の酉の市でオタフクの面をつける素材なので「オカメザザ」とも神楽に使うので「カグラザザ」という呼び名もあります、すべて同じ植物のことで「ササ」と名前がついているのに竹類なのです。
背丈の高い笹もあります、たとえば昔は弓矢の矢にしたことに名前の由来のある「ヤダケ」高さは長いものだと5メートル程度になりますが笹類です。幕末に新選組の副長として活躍した土方歳三が「将来武士になったらこれで矢を作る」と武士になる決意をこめて生家の庭に植えたという話があります。また、数寄屋建築に使われるという事で竹虎でも結構取り扱っていたメンチク(メダケ)も稈の高さは4メートル程度になります、「ヤダケ」「メダケ」と竹のような名前がついているのに笹類です。現在一斉開花はが始まって竹林が枯れてしまっているスズ竹も「竹」と付きながら笹の仲間です。