エビラは養蚕が盛んな時代には、今では考えられないような数で作られていたので比較的沢山残っている物なのです。しかし、高知で見かけるのは網代編みか四ツ目編みばかりで、このようにゴザ目に編まれたものは珍しいのです。蚕棚で使うには四角い形のほうが良いように思いますが九州にはカイコバラという平らな網代編み丸ざるがあったし、東北では六ツ目編みの丸ざるが使われていました。
今では梅干しに使ったり、野菜を干して乾燥野菜を作るのに使われたりお客様によって使い方はそれぞれです。今年はじめて作った四ツ目編みエビラも久しぶりに復活した四ツ目編み丸ざる60センチや40センチサイズと共に好評で良かったです。
竹虎では大きい竹ざるは基本的に2尺(60センチ)にしています。これだけの大きさがあって、しかも二重編みになった竹ざるも品切れになりました、「来月には編みあがりますか?」とご質問をいただきますものの竹材自体がなくなっていますので秋以降の竹の旬が良くなってからでないと製造はできません。
竹は竹林に沢山あるから、まさか材料が無いとは考える事はないのかも知れません。もちろん竹自体は毎年生えてまさに無尽蔵というくらいありますけれど、伐採する時期が決まっており、その竹に適した時期に伐った材料を保管しておいて一年通して使っていきます。ですから、ある竹製品が予想以上に足らなくなったとしても途中で竹材を確保できませんのでそれ以上作ることはできません。
今年の長かった梅雨では、青竹細工の大敵であるカビや虫にも注意しています、匠の横編み竹ざる65センチは美しく最高の逸品なので喰われたら大変だと先日熱湯消毒しました。竹の青さはぬけてしまいましたけれど品質は全く問題ありません、お使いいただくうちには自然と同じような変色をしていきます。竹の本当の魅力はそれからなのです。
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