竹細工といえば山間部で作られている印象があるかも知れませんが、実は海で働く竹籠や竹ざるも多かったので漁港近くに暮らす竹職人も多かったのです。高知では今でも港に行くとこうとして普通に竹が多用されていてホッとさせられます。
梅雨の晴れ間、潮の香りに誘われて波の静かな船着き場を歩きます。
海鮮加工場では美味しそうなイカが竹ざるの上で干されていました。これからの土用干しに皆様にお使いいただいている国産竹ざると同じような形です。
その奥には、もうもうと湯気の立ち込める大きな釜があって傍らには竹ざるが積み上げられています。この季節だと沖で獲れたウルメイワシを茹でる時にこの竹ざるを使うのです。
ウルメイワシは高知の海でも沢山獲れますので釜茹でしたシラスを最近では丼にしたり、ソフトクリームにふりかけたものまであります。ソフトクリームにシラス!?と驚きますが塩気が効いて実は悪くありません(笑)。
一番良い時期はカタクチイワシの獲れる秋だと言いながらシラスを更に乾燥させて、ちりめんじゃこにしていきます。
今の時代です、釜揚げしたシラスを入れたり干したりする時には竹ざるを模したようなプラスチック製のものも沢山あるようです。しかし、浜辺でお仕事される方々は決まって竹がいいと口を揃えて話します。
どうやら竹ざるだとシラスを入れたまま持ち運びする際に重ねても適度な空間ができるのが良いようです。
何十枚と使う竹ざるに、それぞれの屋号など書入れるのは農村でも漁村でも同じです。今年も新調したり、壊れたものを補修したりしながら竹と共に続いてきた仕事があります。
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