昔の竹細工は専門職として同じ籠ばかり編んでいた時代があった。近年ではオールマイティに何でも作ることが必要となってきたが、それでも数ある竹細工の中で箕作りは難しく製作する職人はごくわずかとなっている。
全国各地で使われてきた箕は、西日本の網代編みされた竹箕の種類だけでも30種類以上に分類されている。しかし、藁や棕櫚を巻いているのは土佐箕だけの特徴だ。気候風土が似ていて棕櫚が身近にあった和歌山あたりでも使われていない面白い特徴である。
高知の山深い集落にある農家さんで数十年来使われてきた箕を拝見した。使い込まれて、すっかり古びた印象であったが何処も傷むことがなく、季節の山菜を並べて干しざるとして使われている。暮らしの一部として竹が溶け込んでいる、この当たり前さが大好きなのである。
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