トンノスという名の背負い籠

トンノス、背負い籠


冬は雪で閉ざされるに違いない急な山道を登っていくと道路工事のために通行止めだ。慌てて違うルートを探すと何とか車一台が通れるだけの道幅がある田んぼをぬうように走る道が見つかった。そうして2時間近く遠回りして、ようやく辿り付いた農家さんにあったのが「トンノス」と呼ばれる背負い籠だ。


山芋籠


背負い籠と言うと昔から農作業、山仕事に多用されてきたので竹虎にも六ツ目の定番の形を含めて7~8種類の籠があったが現在ではあまり作られることもなくなった。




先日の動画に登場した山芋籠なども、鰻ウケを入れて撮っているので冗談のように思われる方がいたらいけない。本当にあの籠は山で掘った長い山芋を、そのまま持ち変えるための背負い籠なのである。


トンノス、背負い籠


この「トンノス」という背負い籠も製作できる職人はただ一人となっている。鳥の巣に似ていることから知らぬ間にトンノスと名前がついた、縦の丈夫な骨竹には孟宗竹が使われて、横編みにはしなりのある真竹が使われている。藁で編まれた背負い紐を見ていたら、在りし日の名人を思い出して胸が熱くなった。




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