京都には祖父の代から親しくお付き合いさせていただいている清水銘竹店さんと言う会社様があります。こちらでは竹虎とは少し違った方法で油抜きの加工をされていますので今日はじっくり拝見したいと思ってお邪魔しました。
虎竹は日本でも高知県須崎市の一部でしか成育しない虎模様が特徴の竹ですが最初から虎模様が竹にあるわけではなく、油抜き専用窯に入れ700度のガスバーナーの熱で一気に加工していきます。窯に入れる前と後では竹表皮のツヤが全くちがって虎模様がクッキリと浮かび上がるのですが、この油分をウエスで拭き取って磨いていきます。そして、すぐ後ろには置かれている矯め木でまだ竹が熱せられて熱いうちに曲がりを矯正していくのです。
さて、一方京都の清水銘竹店さんには敷地内に入るやいなや沢山の竹が並んでいます。おっと工場入口では竹を一本一本、丁寧に水洗いされています。油抜きの前にひと手間かけるのが京銘竹のこだわり、こうして大事に製竹した竹が会社建物前から裏側にまでもズラリと立てかけらてれいました。
昭和45年に竹虎本店が完成した際には、店舗正面の屋根部分に孟宗竹の根付がそのまま使われていましたけれど最近ではあまり見ることのなくなった竹根のついた竹や、中には角ばった竹まであります(笑)
ええっ?角い...竹は丸くないの?
とか言われそうですが、筍の時に四角いかぶせをして大きく成長させた竹は四角に形に育つのです。清水銘竹店さんは、この角竹を創ったり、図面竹とよばれる人工的に竹に模様をつけて育てる竹のスペシャリストでもあるのです。
孟宗竹も真竹もあります、それぞれ天日干しされているのは油抜きされて白く変色した竹達です。色が白いので「白竹」、あるいは天日で晒して色を出しますので「晒し竹」ともいいます。しかし、それにしても美しい、竹を使う方からすると竹の材料と見えるかも知れませんけれどここにある竹はすべて竹の製品、一流の完成品です。
竹は油分の多い植物ですので、熱を加えて文字通り余分な油を抜いていく、そしてその油分で竹表皮を磨いて美しく仕上げていくという加工です。青物細工と言われる竹素材をそのままに、あるいは表皮を薄く剥いで編んでいく磨き細工などの他には一部で青竹そのままに使う製品がありますが、多くの場合はこの油抜きという加工をします。
昔は竹の油抜きは炭火でされていました。さすがに現在では炭火を使う事はせず、ガスバーナーの火を使います。片面づつ、ゆっくりと熱を加えることによって内側まで火を入れられるのがコチラの火抜きの特徴です。
竹に熱があるうちに矯め加工するのは同じ、竹と相性のよい椋の木で作られた矯め木で曲がりを矯正しています。体重をかけて調整し、ロープをかけて冷まして固定しています、大きな孟宗竹なので虎竹と違い少し時間がかかるようです。何気なく竹にのっているように見える仕事も竹の節をしっかり殺して真っ直ぐな竹材にされています。仕上がった竹は流石に見事です。
それにしても竹がそれぞれ本当にキレイです。京都という土地柄長い時間をかけて整備されこのような頃合いの孟宗竹が生産されているのだと思いますが立ててある竹も、まるで別モノのように素晴らしい竹ばかりです。太く長い孟宗竹なので何度かに分けて油抜きしていますが、油抜きした所、していない所のラインも綺麗にそろえられている仕事を拝見していても竹への深い愛情を感じます
熱を加えられて竹から油が染み出してツヤツヤと輝いています。竹をまず丁寧に水洗いして汚れを落としている事で油抜きがより加工しやすくなっています。当社と比べると拭き取っているウエスの汚れ具合が、まったく違っているのです。
工場にはこの白竹の他にも図面竹、煤竹、紋竹はじめ京都らしい銘竹がいっぱいです。実は、竹の油抜きには湯抜きと言って熱湯を使ってする方法と、今回見ていただきましたガスの火を使う火抜きという2つの方法があります。しかし、竹はやはり、火抜きの綺麗です、特に時間が経つにしたがって飴色の何ともいえない色合いに変色するのは火抜きならでは清水銘竹店さんは火抜きにこだわり様々な竹を製竹されるのです。