この季節は青々とした真竹が豊富にあって工房も活気がある、ここでは節間の伸びた良質の真竹を使って網代底の茶櫃籠が編み上げられている。
竹林から伐りだしてきた竹をおもむろに手に取って割りはじめる。粗割して、また割って、さらに細く薄く竹ひごを黙々と作っていく。
網代底の底編みが始まった。
出来あがった底編みだけで既に美しい。
庭先にゴザを敷いて竹と向き会う典型的な昔ながらの竹細工。まだまだ外の仕事は肌寒い、しかし今日は日も照って風も静かでありがたい。
一言もしゃべらない職人の代わりに数知れない竹籠を生み出してきた手の平が言う。
心得たものだ。長い仕事の間はずっと眠っていた番犬が、編み上がった籠と同時に今起きた。
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