白石白雲斎先生の作品は、一見して平凡に見える花籠だから多くの方はそのまま見過ごしてしまっているに違いない。しかし、この虎竹花器の手触りといったらどうだ。こんな手触りの心地よい虎竹があるだろうか?こんなに強い虎竹は見た事がない。
昔ながらの職人の中には使いやすいと言って淡竹しか手にしない方もいるものの、それはかなり稀である。けれど、そんな淡竹の仲間である虎竹を、自由に操りここまで完成度を高く編み込む技に到達するまでには一体どれだけの籠を編んできたのだろうか?
一流の作品の数々、ずっと一緒にいても飽きることがない。かすかな違和感を覚えるのは近年の虎竹と柄の入り方が違うからで本当に面白い。
持ち手の巻き込みも凄い、寸分のスキもない。
もうひとつ、染の花籠がある。竹虎の店舗に展示されている染めの作品はすべて根曲竹ばかりだったこともあって最初は気づかなかったけれど籠の雰囲気がどうも違う。そこで手に取って良く見てみると驚いた!かすかに薄く染まる部分から虎竹の模様がのぞいている。なんと虎竹を根曲竹の籠などと同じような黒染にしているのだ。
色付きのよい竹はそのまま虎竹の作品として、そうでない竹は染竹として使っている。祖父が厳選した竹を更に厳選していたのである、どうりで虎の籠が特別なわけだ。
そうして選び抜いた竹素材で創作されたひとつには、このような大型の作品もある。オブジェとしての存在感もありながら、活花との相性も良さそうだ。上手く花器として使いこなせる方の手によれば、竹編みも花も両方が更なる高みに昇華するに違いない。
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