亀の飾られた渡辺竹清作宝石箱

渡辺竹清作煤竹パーティーバッグ


渡辺竹清先生の作品を久しぶりに見たくなって数点桐箱から取り出してみました。先生とは祖父の時代からのお付き合いなので、竹虎本店に常に展示してある作品だけでもかなりの数あるのですが実は秘蔵の作品というのは倉庫の深くに眠っています。そこで、たまには明るい場所に出して鑑賞したいと時々このような気持ちになるのです。


渡辺竹清先生、竹虎四代目


現在では先生はお仕事はされておらず悠々自適の生活をされていますが、近くに行く用事があれば必ず立ち寄らせていただきます。懐かしい感じがすると言うのか、どうも他所の工房という気がしないのでいつもついつい長居してご迷惑をおかけしています。


渡辺竹清作煤竹盛器


渡辺竹清先生と言えばニューヨークの有名宝石店T社でのお仕事が有名です。そのパーティーバッグもそうでしたが、創作の多くは煤竹という100年、場合によっては200年も前の素材を使い、現代に新しい命を吹き込み蘇らせた作品が多いのです。箱から出てきた盛器も煤竹の濃淡を見事に活かして編み込まれています。


渡辺竹清作煤竹宝石箱


遊び心のある先生はお伺いする度に新しい作品に挑戦されて次々に驚くような作品を創られていました。この宝石箱を手にされている時も本当に楽しそうで何と幸せな竹の道を歩まれているのだろうと思ったものです。


渡辺竹清作煤竹宝石箱、蝸牛


緻密な編み込みの宝石箱には蝸牛と亀が飾られています。どちらも歩みが遅いけれど焦ることなく一歩また一歩確実に前に向かって進んでいきます。


渡辺竹清作煤竹宝石箱、亀


竹虎は今年で創業126年を迎えさせていただいておりますけれど、大坂天王寺で仕事を始めたばかりの頃の屋号は「竹亀」でした。戦後、土佐の虎竹を専門に扱うようになり全国の竹屋さんから自然と「竹虎」と呼ばれるようになって今があります。そこで、亀の飾られた宝石箱は自分が特別気に入っているひとつなのです。


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