高知に割烹と呼ぶ店がどれくらいあるのか知らないが、先日初めてお伺いさせていただいた「わん家」さんは創業50年、土佐漆喰と樹齢500年の欅カウンターが店主のこだわりを感じさせてくれる威風堂々とした老舗だ。豪快な皿鉢料理が主流の地にあって懐石の店は珍しいのではないかと思っていた宴たけなわの頃に女将さんがやって来た。
「竹虎さんは、どちらですか?」
わざわざご挨拶に来ていただいたのである。自分は、あまりこのようなお酒の場に来ることはないのでこちらのお店様も今夜知ったばかりだった。しかし着物の似合う女将さんは違うようだ、若い頃から竹虎にたびだひ来られては店内に竹を活かしてこられたそうなのだ。そういえば独特の竹のあしらいが入店の時から気になっていた。
実は自分達がいる四階建てのビルは新店舗であり、ハス向かいにある旧店舗を見て欲しいと言っていただく。表にでてみると赤い漆喰が独特の雰囲気を醸し出す建物があり今は閉まっているシャッターをわざわざ開けて店内をご案内いただいた。
分厚い黒竹葺屋根が伸びるカウンター、竹枠角窓の様々な竹の装飾がある。枝屋根の柱に使う孟宗竹の色合いは渋く変色して時代を感じさせる。全て祖父がした仕事だった、竹虎二代目がこちらの店舗に来たのは一体いつの事だろうか?それから何十年経って訪れた何もしていない自分のような者に女将さんが手を合わせてくださっている。
「竹虎」は何と凄い会社だろうと改めて思う。やはり先人にはいつまで経っても追いつけない、展示会の準備に向かうパリの街角で思い出していた。
フランス国内巡回展「日本の日常生活の中の竹」
■パリ会場
会期:1/24~4/10
1, rue Dante, 75005 Paris, tel : 01 44 41 50 10
■リオン会場
会期:5月初旬~10月中旬
46 Rue du President Edouard Herriot 69024 Lyon, tel : 04 78 38 30 40
■ツールーズ会場
会期:10月下旬~翌1月末
5 Rue Croix Baragon 31000 Toulous, tel : 05 61 14 51 50
コメントする