めでたく幸せな祝儀籠

祝儀籠、肴籠


今年は新年早々にパリでの展示会を予定しているので、どうしても伝統の籠として復刻したかった一つに祝儀籠があります。肴籠(さかなかご)とも呼ばれていて縁談が成立すると、この籠に鯛やイトヨリといった赤い魚を入れて祝儀の贈り物として使っていたのです。檜や南天の葉、あるいは笹を下に敷くのが普通でしたので色合いも美しいものだったと思います。


祝儀籠、肴籠


この竹籠を使うのが高知だけの風習なのか、どこか他県でも行われていたのかはハッキリしていません。しかし自分の学生の頃には竹虎には普通に並べられていて流通していた竹を使った生活道具なのです。


真竹、苦竹


祝儀籠に使う真竹の竹林に行くと青く生命力に満ちた竹の姿に圧倒されます。彩に溢れた今の時代の自分でさえそうなのに、昔の人々が例えば一面雪景色となった中でも青々と立っている竹に神秘的な力を感じずにはいられなかったと思います。だから神事にはもちろん婚儀など祝いの場にも竹は歓迎され、いつしか「松竹梅」と言われるようになったのではないかと想像しています。


祝儀籠、肴籠


今まで見てきた祝儀籠は決して大きなものではありません、鯛にしろそこまで大きな魚が入れられる籠ではありませんので普通の庶民が使ってきた暮らしの籠という部分にも魅力を感じます。


「生臭坊主」と聞きますとあまり良い意味ではありませんが、婚儀が了解されると「ナマグサ=生の魚」になったと言っていたそうです。地域に残っている言葉ひとつからも生きた幸せな竹籠の歴史を垣間見る思いです。


初日の出も素晴らしい、けれど仕事はじめの今朝の朝焼けはもっと素晴らしい(笑)。今年も「虎竹のある暮らし」に頑張っていきますので何卒よろしくお願いいたします!


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