何の変哲もない何処かで見た事のあるような四ツ目編みされた竹籠です。黙っていたらそのまま行き過ぎてしまいそうな四つ目籠、自分も見慣れてしまっているので数年前までは普通のように思っていました。ところが昔ながらの竹材で、昔と同じように編み続けていた籠が気がつけば結構レアな竹細工になっています。
ここに伐採されているのはご覧のとおり直径も太く身の厚い孟宗竹です。竹虎では袖垣の芯材として使いますので、このように山出ししていますが現在では孟宗竹は竹炭として焼かれる他ほとんど使われる事がありません。孟宗竹は真竹などに比べて太く重量もあり、割るにしても剥ぐにしても硬くて使いづらく竹細工には不向きとされているのです。
ところがその反面、孟宗竹を好んで使う古老の職人がいるのです。ひとつは高知の場合には身近に良質の真竹がなかったのかも知れません。ずっと質より量の時代でしたので太い孟宗竹が素材として選ばれていたのです。それと、もうひとつは強さです、農家や家庭の道具として使われていた竹編みは耐久性が一番に求められていました。
孟宗竹で編んでいる?聞いたら驚く職人もいるかも知れません。他では見られなくなりつつある竹細工、この竹ざるも縁には孟宗竹を使って丈夫に仕上げられます。
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