ミカンの美味しい季節になると、ある年齢以上の方にはコタツの上にミカンを入れて置いてあった盛籠を思い出すこともあるのではないかと思います。もちろん何と言ってもミカンが主役なので脇役の印象が残っていない方もおられるかも知れません。
多くのご家庭ではきっとこのような形の竹籠が使われていたに違いないのですが、この無双編竹籠は脇役と言うには惜しい美しさです。
無双籠とは二重編みになった籠のことで、珍しい編み方という訳ではないもののこれだけキリリッとした触り心地満点の編み籠にはなかなかお目にかかれません。
煤竹の力竹には「八郎作」と銘が入れられています。
染色の色味が少し邪魔をしていて分かりづらくなっていますが兎に角美しい形に魅入るほどです。
この名人が数十年前の修業時代に編んだ籠が残っています、形のたどたどしさはあるものの丁寧な作りが分かります。
現在編まれているシャープな籠とは全く違う優しさを感じる籠、手元に置いておきたい温もりが伝わってくる籠です。
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