マタダビという秀逸な素材を探し出した先人の英知は素晴らしいものです。9月末からちょうど今頃までが伐採の季節ですが黒っぽい小枝のようなマタタビの表皮を剥ぐと雪のように白い木肌が現れます。
4本から6本程度に割って幅を揃えたヒゴは編組に適した粘りとしなりがあり、網代底もこのように綺麗なマタタビ蕎麦ざるに編み上げることができるのです。
笊の裏側からみた編み目模様も美しく、これがあの黒っぽい小枝だったかと思うと不思議です。
マタタビは水にも強く、手触りがよく、そして軽いことから扱いが容易で台所用品として重宝されてきました。特に水分を含むと目がつんで小さな米粒も編み目に挟まなくなりますので米研ぎザルには最高といえます。
更に使っているうちに真っ白な色合いが段々と飴色に変化していくのも竹と同じように魅力のひとつです。実はひとつだけ飴色に変わりつつあるマタタビの弁当箱を持っていますが、蓋をとると日頃は重なっている部分だけがまだ白いまま残っていて変色の具合を知るバロメーターとなっています。
日本はこのように自然に恵まれ、伝統ある豊かな国だと言う事を蕎麦ざる一枚から知ることができます。
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