エビラ籠とは元々は養蚕農家が蚕棚として使っていた竹編みの平籠の事で、最盛期には今では考えられないくらいの数が使われていました。近くの河原に運んで洗っている様子を何かで見た覚えがありますが、小山のようなエビラの量に驚きました。だから蚕を飼わなくなった現在でも近所の農家さんに行けば必ず一枚や二枚は見つかるものです。
なので高知の歴史民俗資料館にも多数のエビラが保管されていて前々から気になっていた四ツ目編みエビラを来年に向けて復刻してみたいと思っています。四ツ目編みは網代編みに比べて更に通気性がよく梅干しや野菜干しには適しています、しかし何より古い四ツ目エビラの竹の枯れた風合いが、ずっと忘れられずにいたのです。
あの竹ヒゴが何度も何度も擦れて磨かれ艶のある光沢になるには一体何年愛用すればよいのだろう?そんな事思う間にすぐに四ツ目エビラは完成しました。
思った通りの出来映え、しかし新品の四ツ目エビラなど、もしかしたら日本にこれ一枚かも知れません(笑)。
木枠に入った青竹の四ツ目を見ると丈割を思い出します。丈割は壁竹とも木舞竹とも呼ばれている土壁の芯に使われていた竹材の事です。丈は10尺、つまり約3.03メートルの長さに割った竹の事で、竹虎では虎斑竹の中でも色付きが少なかったり、キズがあったりする二等以下の竹を使っていました。
温暖化の影響でしょうか?虎竹の色付きが今年もかなり良くありません。丈割の製造も二十年近く前には採算が合わなくなり止めています、二等以下の色付きの無い竹の加工が課題です。
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